グリー田中社長が語る、GREEの変化
GREEオープンから6年。サイトは大きく姿を変えた。今のGREEは「必ずしも自分が使いたいものとして作っているわけではない」が、より多くの人に使ってもらえるサービスを目指していると、田中社長は話す。
誕生から6年。GREEは大きく変化した。
2004年のスタート当初、田中良和社長は楽天の社員だった。忙しく働く中、「会えない友人とつながりたい」と、PC向けSNSとして個人で開発した。
SNSは当時、ネットサービスの流行の最先端。ネット業界で働く人の多くが利用し、mixiと人気を二分した。「それほど多くの人が使ってくれるとは思っていなかった」――自分のために作ったサービスがユーザーに受け入れられ、急成長するさまに驚いたという。
ユーザー増加に伴い、04年12月に株式会社化。その後2年ほどは目立った動きもなくmixiに大きく差をつけられたが、06年7月からKDDIから出資を受け、携帯電話向けサービスに経営資源を集中。アバター導入やユーザー課金型ゲーム、マス広告の展開などが当たり、携帯SNSとして国内最大級・1500万ユーザーをかかえるサービスに成長した。業績も急拡大し、2009年6月期の売上高は139億円、営業利益は83億円に上った。
携帯サービスに大きくかじを切ってから、ユーザー層は一変した。携帯ゲームやアバターに魅力が幅広いユーザーを引き付ける一方で、誕生当初、ネットの先端的なサービスとしてGREEを支持し、利用していた先端的なPCユーザーは離れていった。記者の周囲を見ても現在、GREEを日常的に使っている人は見当たらず、“業界受け”は良いとは言えない。
田中社長もネット業界人の1人。今のGREEは「必ずしも自分が使いたいものとして作っているわけではない」と認める。ただ「より多くの人に使ってもらえるものが、社会に影響を与える良いサービス」という信念のもと、マスに届くサービス作りを心がけているという。
自分が使うためのサービスと、会社で提供するサービスのかい離。携帯電話からのネット利用の普及に伴い、「ネットユーザー」の意味が2004年と今とでは異なってきたことがその背景にあると、田中社長は分析する。
「2004年当時はネットユーザーの規模が小さく、自分がユーザーの中央値に近かったが、どんどん中央値から外れてきたというのも、あるかもしれない。GREEは僕も楽しめるが、僕以上に楽しめる人がたくさんいるサービスにしないと、多くの人に使ってもらえるものにはならないと思う。業界にも受け、かつ、みんなが使っているサービスを作れればそれがベストだが、ネット業界の内輪受けを狙ってサービスを作っているわけではない」
「例えば(業界人の)僕はGoogleを使っているけれど、日本全体でみるとYahoo!JAPANを使っている人のほうが多い。僕が楽天で働いていたころも、業界の人は『楽天なんかダサイから誰も使わない』とAmazonを使っていた。でも実際は、楽天がめちゃくちゃ使われている。ネット業界の人は、日本全体から見ればマイナーな生き方をしているかもしれない」
「昔は自分の作りたいものや楽しめることをやりたいと地道に努力していたが、会社を始め、サービスを多くの人に使ってもらえるようになると、自分が果たすべき役割を考え、社会に求められていることをしたいと変わった。自分の欲しいサービスを1人で作るより、自分は直接は作らないけど、会社でサービスを作っていく方が、社会全体の“総幸せ”を拡大でき、大きく社会に貢献できると思う」
「インターネットが好き」。その気持ちだけは、ずっと変わらないという。
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