32ナノが上から下まで──IDFで公開された2010年のロードマップと「動く!」Larrabee:Intel Developer Forum 2009(1/2 ページ)
IDFのキーノートといえば、欠かせない存在だったパット・ゲルシンガー氏がIDF 2009直前にIntelを去った。彼に代わって登場したマロニー氏は何を語るのだろうか?
本領を発揮しつつあるNehalemプラットフォーム
これまでデジタルエンタープライズ部門トップとして、ロードマップのアップデートやエンタープライズ向けソリューションを紹介してきたパット・ゲルシンガー氏がIDF 2009直前にIntelを去り、代わって登場したのが、米IntelのIntel Architecture Groupジェネラルマネージャー 兼 エグゼクティブバイスプレジデントに就任したばかりのショーン・マロニー氏だ。
Nehalemというアーキテクチャの開発にあたって期待されていたのは、当時、x86系サーバ向けCPUの分野で優れたコストパフォーマンスを見せていたAMDのOpteronに対抗することだった。そのため、Nehalemでは、メモリコントローラの統合やQPI(Quick Path Interconnect)が採用され、さらには、Turbo Boostが追加されるなど、パフォーマンス向上を目指していった。
そういう意味で、間もなく登場するNehalem-EXは、“Nehalemの理想像”と呼べるだろう。1CPUあたり8コア/16スレッドの同時処理が可能なだけでなく、最大8CPUまでのシステム構成が標準で対応できる。従来比で9倍というメモリ帯域のほか、RAS(Reliability, Availability and Serviceability)機能の強化も行われており、高い信頼性が求められるミッションクリティカルなシステムでの利用にも十分耐えられる。
Nehalem-EXに隠れる形となってしまっているが、Itaniumの系譜に属する「Tukwila」(開発コード名)も引き続きロードマップにある。もともと、2009年初頭にリリースが予定されていたTukwilaだが、現時点では2010年第1四半期に延期されている。
Nehalem-EXが登場する一方で、サーバ向けラインアップは32ナノメートルプロセスルールのWestmere世代へゆっくり移行していくことになる。その1つが、「Westmere-EP」だ。ミッドレンジからボリュームゾーンをカバーするWestmere-EPは、現行の「Xeon 5500」(Nehalem-EP世代)シリーズに続くモデルとみられている。パフォーマンスが向上するほか、セキュリティ機能の強化、10ギガビットイーサネットに対応するネットワークインタフェースなど、周辺機能を拡張しているのが特徴だ。
また、「Jasper Forest」と呼ばれる組み込み市場を意識したラインアップも明らかにされた。Jasper Forestは、Nehalem-EPを基本アーキテクチャとしているが、最大の違いはPCI Express 2.0インタフェースをCPUに統合し、RAID 5、6対応コントローラの内蔵、I/O仮想化など、組み込みやストレージサーバなど、特定用途に使われる組み込み向けCPUを意識した作りになっている。ライブデモでは、ショッピングモールで使われる電子案内板やスロットマシンなど、いくつかの応用例が示された。
マロニー氏のキーノートでは、「Gulftown」と「Larrabee」に関する紹介もあった。GulftownはWestmere世代のハイエンドデスクトップPC向けCPUで、32ナノメートルプロセスルールを採用するほか、6コア/12スレッドの同時処理に対応した点が特徴だ。登場時期は2010年を予定している。絶対性能を重視するパワーユーザーには期待のCPUとなるだろう。
NVIDIAやAMDのGPUに対抗できるIntelの高性能グラフィックスコアとして、長いこと注目されている「Larrabee」だが、まだ具体的な製品が登場する段階ではないようだ。2010年という当面のスケジュールは示されているものの、依然として研究段階の域を出ない状態で、現在は、研究者や一部の開発者向けにサンプルチップやソフトウェアが配布されてフィードバックを待っているという。OpenGLやDirectX、OpenCLなどの標準ライブラリに対応する予定だが、一般ユーザーに広く利用されるのはまだ先になる。NVIDIAもCUDAを利用したライブラリの増強や開発者コミュニティの支援にかなりの準備期間を置いていることを思えば、後発のIntelがNVIDIAと同じ段階に到達するには多くの時間を要すると思われる。IDF 2009では、Larrabeeでリアルタイムレンダリングを行うライブデモが紹介された。
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