「デジタルライフスタイルの未来はiPhoneにある」――フィル・シラー:アップル上級副社長に聞く(4/4 ページ)
スティーブ・ジョブズCEOに続くアップルの顔、最近ではMacworldやWWDCといったイベントで基調講演も行っているフィル・シラー氏が来日し、MacやiPod、iPhoneの最新状況について語った。
進化し続けるデジタルライフスタイル戦略
―― 正直なお答えをありがとうございます。それでは最後にもう1つ、Macに関する質問をさせてください。
9年前の2001年1月、御社のCEOであるスティーブ・ジョブズ氏は、デジタルライフスタイル時代の到来を予言しました。インターネット登場以来、メールとWebブラウジング以外で存在感がなくなりつつあったPCを指して、パソコンはまだ進化の過程の途上にあると述べたうえで、次の時代にPCはデジタルライフスタイルの中でのハブとして活用されるようになると予言しました。
実際、それから今に至るまで、アップルはMacをデジタルハブとして活用するiLifeの開発に力を入れ、そのiLifeを快適に活用できることを目標にMacのハードウェア開発を続けてきました。そこで聞きたいのですが、アップルのデジタルハブ、デジタルライフスタイルの革命はまだ続いているのでしょうか。
フィル・シラー それはすばらしい質問です。私は今日、デジタルハブは現実に非常によく活用されているパソコンの使い道として定着していると思います。デジタルライフスタイルは我々の顧客の多くが、まさに日々送っているライフスタイルになっていると考えます。
我々はデジタルカメラで写真を撮り、それをパソコンに取り込み、映像を撮ってはそれをパソコンで編集したり、音楽を持ち歩いたり、作曲や演奏もしています。こうしたメディアリッチなアプリケーションに触れて活用するデジタルライフスタイルは、多くの顧客が日々実践していることだと思います。
我々はこのコンセプトを生み出し、それを実践するためのソフトウェアとハードウェアを作ってきましたが、今日では多くの顧客がそれを本当に毎日あたりまえのように実践しています。
2001年の講演、スティーブ・ジョブズは、パソコンの進化の最初の波はMicrosoft Officeのような生産性アプリケーションの波で、その次がメールやWebブラウザのようなインターネットアプリケーションだと言っていました。そう考えると、デジタルハブは第3の波になるわけですが、この第3の波到来によって第1と第2の波がなくなったわけではありません。
我々は今日でも生産性アプリを使いますし、メールやWebも活用しています。つまり、パソコンの新しい活用法と言うのは、決して前の活用法を消し去るものではなく、加わっていくものだと思っています。例えば今日ではfacebookのようなソーシャルネットワークの活用が盛り上がっていますが、そういう新しい習慣によって、デジタルハブの利用がなくなることはありません。
いや、それどころか、これまでのデジタルハブが、それらのサービスを効果的に活用し始めています。例えば最新のiPhotoを使えば、簡単にfacebookに写真を送って共有することができます。それによって、あなたのローカルHDD上の写真が消えることはありませんが、facebookで共有することによって、あなたの写真がより大勢の人に広がり、楽しんでもらえるようになったのです。写真共有サイトのFlickrについても同じです。
ここで言いたいことをまとめると、デジタルハブは今日、我々の日々の生活にしっかりと根づいていると思いますが、最近ではこうしたソーシャル系サービスとの融合をはじめ、これまでになかった新しい楽しみを生み始めています。そうしたコンテクストの未来にあるのは、おそらくこのiPhoneでしょう。iPhoneでは、これをポケットに入れて持ち歩き写真を撮って、それをそのままソーシャル系サービスに登録することができ、まさに理想に近いデジタルハブとソーシャル系サービスの融合を可能としているのです。
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