デルの新顔Netbook「Inspiron Mini 10v」の切れ味を試す:ファンレスは継続(2/2 ページ)
Netbook/低価格ノートPCのラインアップを拡充し続けるデルから、Inspiron Mini 9の後継となる廉価モデルが登場した。その店頭モデルをチェックしよう。
一部制限はあるがBTOでカスタマイズが可能
本機のスペックは、CPUがAtom N270(1.6GHz)、チップセットはグラフィックス機能を統合したIntel 945GSE Express、メモリは1Gバイト(DDR2)と典型的なNetbookだ。これらの仕様は固定だが、ストレージは容量が160Gバイトの2.5インチHDD(5400rpm)、MLCタイプの16GバイトSSDか8GバイトSSDから選択できる。Mini 10のように250GバイトのHDDや64Gバイト/32GバイトのSSDを選べないのは残念だが、無線LANはIEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト準拠)かIEEE802.11b/gに加え、Bluetooth 2.1+EDRを追加可能だ。また、OSはWindows XP Home Edition(SP3)かUbuntu 8.04(デルカスタマイズ版)が用意され、バッテリーも標準の3セルか大容量の6セルを選べる。ちなみにUbuntuとXPの差額は3150円と安価だが、Office Personal 2007(SP1)の追加は2万1000円となっている。
1つ覚えておきたいのは、Mini 9と異なりメモリスロットやストレージ(HDDベイ)には底面から簡単にアクセスできないことだ。HDDベイはキーボードユニットを外すだけで済むが、メモリスロットは本格的な分解作業が必要になるので、ユーザーレベルで気軽に換装するのは難しい。

ACアダプタはMini 10から形状が変更され、サイズは39(幅)×79(奥行き)×40〜50(厚さ)ミリ、重量は約190グラムと小柄だ(写真=左)。ただ、ケーブルが約2.5メートルと長いので持ち運びにはかさばる。底面からアクセスできるのは無線LANモジュールだけだ。キーボードユニットを取り外すと、HDDベイが現れる(写真=右)Inspiron Miniシリーズの中では良好なパフォーマンスを発揮
それでは、160GバイトHDDにWindows XP Home Edition(SP3)、6セルバッテリーを搭載した評価機のパフォーマンスをチェックしよう。基本スペックは従来のInspiron Mini 9と変わらないため、PCMark05では低消費電力のAtom Z系CPU(開発コード名Silverthorne)とIntel SCH US15W(開発コード名Menlow)チップセットを搭載した、上位モデルのInspiron Mini 10やMini 12と比べた。なお、Mini 12とMini 10のCPUはAtom Z530(1.6GHz)、OSはWindows XP Home Edition(SP3)でそろえ、ストレージはMini 10が2.5インチの160Gバイト(5400rpm)、Mini 12が1.8インチの80Gバイト(4200rpm)となっている。
PCの総合的なパフォーマンスを見るPCMark05では、計測できたCPU、Memory、HDDのいずれもMini 10vがリードしているのが分かる。MenlowのXP用ドライバが不完全なため、Mini 12やMini 10のグラフィックス関連のテスト結果は出ていないが、通常の操作でもIntel GMA 950のグラフィックス機能を備えたMini 10vのほうがレスポンスは良好だ。
バッテリーの駆動時間は、3セルバッテリーが公称値で最大3時間2分、6セルバッテリーが最大7時間2分だ。今回は6セルバッテリーを用いて、海人氏作のBBench V1.01を使って計測した。液晶ディスプレイの輝度を最高で、電源設定をポータブル/ラップトップにしてWeb巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオンにしたところ、5時間31分で残量がゼロになった。電源設定を変更したり、液晶ディスプレイの輝度を下げたりすれば、より長時間の動作が可能だろう。
Inspiron Miniシリーズ共通の特徴であるファンレス仕様は本機でも健在だ。耳障りな冷却ファンの風切り音がないのは好印象だが、システムに高い負荷をかけ続けると、CPUやチップセットが位置する右側面を中心にボディ全体が熱を帯びた。熱くて触れないほどではないが、Mini 12やMini 10よりは確実に発熱が激しくなっている。
ファンレス仕様で静かなInspiron Miniシリーズの魅力は健在
良好なレスポンスと引き替えでやや熱を帯びやすいMini 10vだが、Ubuntu搭載モデルで3万4980円、Office Personal 2007(SP1)のセットパッケージで5万4980円とプライスパフォーマンスはInspiron Miniシリーズの中で群を抜く。確かに、上位のMini 10と比べると価格面でもう一声ほしいところだが(例えば、1366×768ドットの液晶と32GバイトSSDを組み合わせたMini 10のパッケージ価格は4万9980円)、これまでもひんぱんに価格改定を実施してきた同社の方向性を考えると、将来的な展開は期待できる。
本機は際だった特徴があるわけではないが、豊富なカラーバリエーションやBTOによるカスタマイズ、Atom N系のCPUを搭載したモデルでは珍しいファンレスボディを武器に、激戦が続くNetbook市場でも十分に戦っていけるだけの実力は備えている。
関連キーワード
Inspiron | Dell Inspiron Mini | ミニノートPC | Atom | Netbook | ノートPC | キーボード | Ubuntu | バッテリー | ディスプレイ | CPU | ファンレス | Windows | ハードディスク | Windows XP | エントリークラス | SSD | ストレージ | BTO | カラーバリエーション | Centrino Atom(Menlow) | Synaptics | 量販店 | 無線LAN | 2.5インチHDD | ベンチマーク | Bluetooth | (PRODUCT) RED | Silverthorne | UMPC
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新モデルの情報を随時更新:ミニノート/Netbook/UMPCのすべて
新作が続々と登場するミニノートPC。人気のVAIO type Pはもちろん、東芝や富士通、シャープといった国内メーカー製の新型Netbookに注目だ!!
デル、Ubuntu搭載で4万円を切るエントリーミニPC「Inspiron Mini 10v」
デルは、ミニノートPC「Inspiron Mini 10」の姉妹モデル「Inspiron Mini 10v」を発表。一部仕様を変更し価格を抑えた。OSはXPのほかUbuntuも選択可能。
デルが放つファンレスノートPC第3弾「Inspiron Mini 10」を360度チェックした(前編)
デルが3月30日に発表したInspiron Miniシリーズの第3弾「Inspiron Mini 10」は、NetbookながらHDMI端子を装備し、ファンレス設計を維持した意欲的なモデルだ。
デルが放つファンレスノートPC第3弾「Inspiron Mini 10」を360度チェックした(後編)
低価格のNetbookとはいえ、性能やバッテリーの駆動時間は気になるところだ。デルの新製品を早速チェックした。
デルが1366×768ドットやワンセグも選べる低価格ミニノートPC「Inspiron Mini 10」を追加
精力的にNetbook/低価格ミニノートPCをリリースするデルから、10.1型ワイド液晶ディスプレイ搭載の新モデルが発売される。
プライスダウンでお得になった低価格ミニノートPC「Inspiron Mini 9」をむいてみた
デルのAtom搭載低価格PC第1弾「Inspiron Mini 9」。OSも選べるミニノートPCの内部に迫る。
4万円台で買える「Inspiron Mini 9」のUbuntuモデルを試す
デルのNetbook第1弾「Inspiron Mini 9」で、5万円を切る最も安価なUbuntuモデルをチェックした。
デルが放つミニPC「Inspiron Mini 9」をチェックする
デルが新たに投入した低価格ミニノートPCを、あらゆる角度から見ていこう。
デル謹製AtomノートPC「Inspiron Mini 9」の日本語キーボード版を試す
出る出る、といわれ続けたデルの低価格ミニノートPC「Inspiron Mini 9」。まずは日本語キーボード+Windows XPの上位モデルを触ってみた。
Windows XPを搭載したデルの低価格スリムノート「Inspiron Mini 12」を試す
Windows VistaやUbuntuに加え、XPも選べるデルのお手ごろスリムノート「Inspiron Mini 12」だが、最も汎用性の高いXP搭載モデルを試してみた。
デルが放つ低価格スリムノート「Inspiron Mini 12」の中味を拝見した
ファンレスで低価格な大画面スリムPCとして唯一無二の存在である「Inspiron Mini 12」を分解した。その中身は驚くべきものだった。
デルの10万円切りスリムノート「Inspiron Mini 12」をテストする
何かと気になる、デルのAtom搭載スリムノートPC「Inspiron Mini 12」でベンチマークテストを実行した。その結果は……。
デル、Atom搭載ミニノート「Inspiron Mini 12」にXPモデルを追加
デルは、Atom搭載の低価格ミニノート「Inspiron Mini 12」にXPモデルを追加、提供を開始した。
デルのスリムPC「Inspiron Mini 12」にUbuntuモデルが追加――4万9980円から
12月2日に大胆な価格改定を行ったデルの「Inspiron Mini 12」にUbuntuモデルが追加された。価格は4万9980円から。
動画で見る低価格スリムPC――ファンレス仕様の「Inspiron Mini 12」編
10月29日から店頭で販売される、デルのAtom搭載低価格ノートPC第2弾「Inspiron Mini 12」を動画で細かくチェックしよう。
デルが放つ大画面スリムPC「Inspiron Mini 12」をチェックする
デルが新たに投入したAtom搭載PC「Inspiron Mini 12」。従来のNetbookとは違い、スリムで大画面の液晶ディスプレイを備えたボディを細かく見ていこう。













