ソニーの最高峰モバイルノートPC――「VAIO type Z '09年夏モデル」を駆る:高速SSD RAIDで突き抜けろ(3/3 ページ)
高性能を凝縮したハイエンドモバイルノートPCとして、2008年の真夏に華々しくデビューした「VAIO type Z」。登場から1年がたち、性能と価格はどうなったのか?
静音性と発熱の処理も抜かりなし
評価機は店頭モデルと同じく、標準バッテリーパック(S)を搭載しており、容量は10.8ボルト 5400mAh、公称の駆動時間は約8〜約10.5時間となっている。VAIOオーナーメードモデルでは公称の駆動時間が約12〜16時間の大容量バッテリーパック(L)も選ぶことができる。
バッテリー駆動時間のテストは「BBench 1.01」(海人氏作)を利用して行った。STAMINAモードの「バランス」の電源設定(輝度40%)で無線LANを常時接続し、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとにインターネット巡回(10サイト)を行う設定でテストしたところ、駆動時間は223分(3時間43分)だった。公称の駆動時間にはかなり足りないものの、無駄の多い条件で測定していることを考えれば、4時間弱というのは十分実用レベルといえるだろう。
静音性や発熱の処理もよく考えられている。動作時の騒音レベルは、暗騒音32デシベル、室温30度の室内において、PCMark05と3DMark06を実行してシステムに負荷をかけ、ボディ前面から5センチと近い距離で測定した。放熱制御の設定は「バランス」で行なっている。どちらのモードでも高負荷時にはそれなりの音がするものの、アイドル時や低負荷時は静粛だった。室温30度と悪条件下のテストであることを考えれば上々だろう。
発熱の処理も優れており、底面左の排気口付近のみ高い熱を持つが、表面は不快な熱を持たない。特に一番多く手が触れるパームレストの温度が低いのはありがたい。より発熱量が大きいCore 2 Duo T9900(3.06GHz)を選択した場合は、ボディが高温になりやすいことも予想されるが、今回試したCore 2 Duo P9700(2.8GHz)搭載の構成では快適だった。このスリムなボディでハイパフォーマンスを備えながら、ここまで体感的な発熱を抑えているのは特筆できる。
あらゆる面でハイレベルな仕上がり
このようにVAIO type Zは、デザイン、パフォーマンス、液晶ディスプレイの品質、キーボード、そして静音性や発熱の処理に至るまで、あらゆる要素を高いレベルで備えている。どれをとっても、いわゆる“普通の”ノートPCとは一線を画しており、さすがVAIOノートのフラッグシップといえる仕上がりだ。
ソニースタイルでの販売価格は値下げされ、2009年7月29日現在では16万9800円から購入できる。そのうえ、さまざまなキャンペーンも行っており、SSDのアップグレード価格が安くなっているほか、ワイヤレスWAN選択時のキャッシュバックも受けられる。
例えば、Core 2 Duo P9700(2.8GHz)、メモリ4Gバイト、SSD RAID(128Gバイト)、DVDスーパーマルチドライブ、1600×900ドット液晶といった構成でも21万4800円とリーズナブル。CPUやデータストレージのランクを少し落とせば、さらに安くすることも可能だ。1年前の発売時だったら、40万円以上の出費は覚悟しなければならなかったハイスペックな構成が、ここまで下がってきたのは見逃せない。
VAIO type Zはソニーの「Windows 7優待アップグレードキャンペーン」に対応していることも触れておこう。本体を購入後に同社Webサイトから申し込み手続きをすれば、OSなどを収めた「Windows 7アップグレードディスク」とBIOS/ドライバ/プリインストールソフトウェアなどを収めたVAIO「Windows 7サプリメントディスク」が3150円(税込み、送料込み)で入手できる。もちろん、Windows 7を高速に動かせるだけのパフォーマンスも備えており、長きに渡ってパートナーとなってくれるだろう。
これまでVAIO type Zの製品としてのよさは認めていても、価格の面で折り合いが付かず、あきらめていたユーザーも多いかもしれないが、これくらいまで価格が下がってくれば、選択肢に入ってくるのではないだろうか。昨今はノートPCの値崩れが激しいが、高価な価格にも見合うだけの価値は間違いなくある。興味がある人は、一度ソニースタイルのWebページで価格シミュレーションを行なってみることをおすすめしたい。
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