大物のニューフェイスが多かった11月のアキバ:5分で分かった気になる、11月のアキバ事情(2/2 ページ)
11月のアキバは、GeForce GTX 580カードや3TバイトHDDといった大物パーツが次々と登場して賑わっていたが、月末には老舗店舗の廃業という衝撃も待っていた。
コンテンツ入りHDDやBDXL対応のBDドライブなど、ドライブ類の進化系がお目見え
3TバイトHDD以外にも、11月はドライブ類の新製品に目玉が多かった。変り種として注目されたのは、後半に登場したバッファローの2つの外付けHDDだ。1Tバイトの据え置きモデル「HD-PCT500U2/HPX6」と500Gバイトのポータブルタイプ「HD-LB1.0TU2/HPX6」で、価格はともに1万3000円弱。
2モデルとも、50Gバイトの容量を使って『ハリー・ホッター』シリーズ6作のSD映像を収納しており、PCでライセンス認証を済ますと視聴できるようになる。TSUKUMO eX.は「動画コンテンツ入りのHDDというのは将来性を感じますね。私としてはガンダム全シリーズを収録したモデルが出たらうれしいです。権利関係がクリアできたら、絶対ヒットすると思うんですよ」と商品自体とその戦略に期待を寄せていた。
これと同じタイミングで、バッファローからは3〜4層メディアに対応する次世代Blu-ray Disc規格「BDXL」に対応したドライブも登場している。その1週間後には、パイオニアからもBDXL対応の「BDR-206MBK」が3万円以下の価格でデビューし、話題を呼んだ。BDXL対応レコーダーはシャープやパナソニックから夏以降にリリースされているが、PC向けの単体ドライブではこれらが初めてだ。なお、BDXLメディアは3層式の1回書き込みメディアがすでに5000円弱で出回っている。容量は100Gバイトだ。フェイス秋葉原本店は「1クール分のドラマを無圧縮で1枚にまとめられるので、欲しい人には待望のドライブといえるでしょう。ただ、大容量HDDの低価格化が著しいので、一般受けはまだ先かなと思います」と話していた。
SSDはPCI Express接続の高速モデルが注目を集めた。月半ばからドスパラ秋葉原本店で受注を受け付けているのは、PhotoFastのPCI Express x8型SSD「GM-PowerDrive-LSI PCIe SSD」。転送速度はリード最大1400Mバイト/秒、ライト最大1500Mバイト/秒で、ラインアップは14万8000円の240Gバイトモデルと、22万6000円の480Gバイトモデル、37万5000円の960Gバイトモデルの3種類となる。
さらに月後半には、OCZのPCI Express x4接続SSDの新シリーズ「RevoDrive X2」も登場した。100Gバイトと160Gバイト、240Gバイトの3種類が出回っており、240Gバイトモデルはリード最大740Mバイト/秒、ライト最大720Mバイト/秒を実現している。価格は順に5万5000円弱、6万5000円弱、8万円弱だ。
ドスパラ秋葉原本店は「昨年PCI Express接続のSSDが登場したときは、完成度の低さもあってキワモノ的な位置づけで見られていましたが、1年かけてノウハウが磨かれて、現行モデルは実用的な選択肢として人気を得ていますね。とくにOCZのモデルは比較的購入しやすい価格帯なので、一般的な浸透度も高いと思います。PhotoFastはハイエンドを目指す人向けですね」と語る。
11周年を迎えたT-ZONE.PC DIY SHOPに突然の幕……
11月は電気街全体に大きな変化もあった。街の顔ともいえるJR秋葉原駅電気街口の駅ビルは、2006年末にアキハバラデパートが閉店してから工事が続いていたが、11月19日、新たな駅ビル内施設「アトレ秋葉原1」がオープンした。アキハバラデパートのような「いかにもアキバ」といった風合いでなく、男女ともに楽しめるような店舗が多く入っており、秋葉原駅昭和通り口のようなクセのないカラーで街を彩っている。
そんなはなやかな駅前の変化とは対照的に、PCパーツショップ密集エリアでは、11周年を迎えたばかりの老舗ショップ「T-ZONE.PC DIY SHOP」が月末に突然閉店するという出来事があった。同店を運営する企業はT-ZONEストラテジィだが、その親会社のMAGねっとホールディングスが11月29日に同社の事業をすべて廃止すると発表。その翌日の30日以降、店舗のシャッターは降りたままで、同系列のオンラインショップもトップページに閉店の案内が掲げられている。
MAGねっとホールディングスによると、現在の自作PC市場の状況で一店舗経営するのが困難になったというのが撤退の理由だ。自作PCパーツのブームが落ちつき、ライバル店との過当競争が頻発する状況になると、大量入荷によるスケールメリットが得られにくい小規模経営の店舗に不利な状況になる。差別化のために他店にない品物を扱うにも、売り場のスペースに余裕がない。そうした厳しさと展望のなさが要因というわけだ。
実際、10月以降は「資本が足りなくなって仕入れができなくなっていると小耳に挟みました」(あるPCパーツショップ)と、苦しい台所事情に関するウワザが街に流れていたという。その一方で、「親会社に税務調査が入って6億円近い追徴税金が発生したんですよ。それで企業の体力が失われて、煽りを食ったともいえますよね」(別のショップ)との声も聞かれ、ライバル店のスタッフからはT-ZONEを同情するコメントが多く寄せられていた。
T-ZONE.PC DIY SHOPの資産は、ドスパラを運営するサードウェーブに譲渡される。その条件が確定するのは12月以内の予定で、年明けからは新たなPCパーツショップとして生まれ変わる計画が進められるという。仮称は「ドスパラ PCパーツ館」だ。
関連記事
- 「この未来はアリじゃないですか?」――“ハリポタ”入り外付けHDDが登場
最大容量を更新する3TバイトHDDと、7000円台で売り出される2TバイトHDD。さらに、“コンテンツ入りHDD”という新たなジャンルも登場し、毛色の違う3つの方向性から、にわかにHDDが注目を集めている。 - 「この“人柱”は大勢の役に立ちそう」――3TバイトHDDが登場!
先週は史上最大の3TバイトHDDが登場。グラフィックスカードでは各社のGeForce GTX 580搭載カードが話題をさらった。 - 「前兆はあった。でも……」T・ZONEの廃業に周辺ショップは落胆
T・ZONE.PC DIY SHOPが廃業した。また1つアキバの有名パーツ店が消えたことに、周囲のショップは肩を落としながら「ウワサは、なくはなかった」と語る。 - アキバのショップの反応は:「もう1つも消えて欲しくないのに」――BLESS閉店で
アキバの老舗PCパーツショップがまた1つ消えた。BLESS秋葉原本店の突然の廃業に、周りのショップのスタッフは口をそろえて「さびしい」と語る。 - “ツクモショック”で消えたアキバ電気街の楽観視
九十九電機のニュースは、秋葉原のPCパーツ店に少なからぬ動揺を与えている。近隣ショップには「ウチは大丈夫です……と、言うように指示されてる」と語る店員もおり、電気街の将来を不安視する声は少なくない。 - 「“狭く深く”じゃ生き残れない」――USER'S SIDE閉店で
USER'S SIDE秋葉原本店がまもなく閉店する。各ショップからは「さびしい」の声が聞こえるが、そこには“なんとなく分かっていたけどね”感が漂っていた。 - 高速電脳の閉店で各ショップが考えること
新製品が少ない旧正月シーズンに突入したこともあり、電気街の話題は高速電脳閉店のニュースが中心。しかし、意気消沈しないところがアキバの強いところ! - 「げ! マジで!?」――高速電脳の閉店に周辺ショップも絶句
2008年1月31日、秋葉原の老舗パーツショップ「高速電脳」が事実上倒産した。奇しくもこの日はPC-Successが倒産したちょうど1年後にあたるが、突然の出来事に周辺ショップは驚きを隠せない。 - 「突然死」か「緩やかな死」か――アキバから姿を消していくPCショップ
Windows Vista深夜販売の翌日、“特需”に沸くアキバで「激安店」として名を馳せたPC-Successが突然の閉店。しかし周囲のショップは意外と冷静に事の成り行きを見つめていた。 - 「いまがフツーなんだと思う」――閉店したPCショップ元店長が語るアキバの未来
アキバの“給水所”を覚えているだろうか。閉店した「じゃんく屋わんねす」を経て「U&J Mac's plus」の店長となった芳野氏が語る自作PCの未来は、明るくも暗くもない。 - 「自作PCの未来は、明るい」
ひとくくりにPCパーツショップといっても、胸の内に描くアキバの将来像は十人十色。ツートップ秋葉原本店は、PC業界の変化を認めつつも電気街の明るい未来を予想する。 - 「自作PCに未来はない」
PCパーツショップは現在もアキバの“看板”として君臨しているが、その一方で閉店する店舗が相次ぐなど、業界全体の縮小傾向は目に見えて加速している。この状況はいつまで続くのか。
関連リンク
- 古田雄介のアキバPickUp!:
- 古田雄介のブログ
- 製品最安値比較サイト:ITmedia +D Shopping
- ソフトウェアダウンロード販売サービス:+D Download
- ソフトウェアのライセンスはまとめ買いがお得:LICENSE ONLINE
- デジタルライフに彩りを与える専門ショップ:+D 専門店街
- PCパーツからオシャレなノートPCまで:msi style!
- 欲しかったアレがここにある!:ニーハオ!!上海問屋
- VAIOのことならお任せ!:VAIO LOVERS
- ソニーじゃなきゃもったいない!:SONY LOVERS
- ThinkPadがWeb限定特価:Lenovo media
- Windows 7搭載PC続々:マウスコンピューターステーション
- JUSTSYSTEMS. Anytime Anywhere
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.