「Xiの不安要素を廃した」ドコモ──LTEタブ+テザリングでWiMAX猛追の構え(2/2 ページ)
NTTドコモがLTE内蔵タブレットを投入。高速なLTEサービスとAndroidタブレットのメリットを「動画サービス」軸に一般層にもアピールする。同時に「タブレットをポータブルルータに」とする訴求策もあるようだ。
LTEタブレットを「ポータブルLTE無線LANルータ」として見てみる
高速な通信機能については、GALAXY Tab 10.1 LTEにデュアルバンド(2.4GHz帯/5GHz帯)+IEEE802.11nのデュアルチャネル通信対応無線LANモジュールを内蔵すること、さらに両機種で「Wi-Fiテザリング」(1つのWAN回線を無線LAN経由で複数の無線LAN対応デバイスでも共有利用できるようにする機能)を正式サポートし、タブレット本体をポータブル無線LANルータとして活用できるのがポイントだ。
これら機能、一般スマートフォンではモジュールサイズ、あるいは3Gデータ通信サービス側の利用制限により(正式)対応とはならない例がほとんどだった。家庭内で動画サービスを利用するなら、おそらく3G、および既存の2.4GHz帯より干渉が少なく安定して高速に通信できるポテンシャルのある5GHz帯無線LANを積極活用してもらいつつ、LTEの広帯域幅+高速通信のポテンシャルも一緒に訴求できる。
このため、すでにデータ通信を利用している層に対しては「タブレット機能もある高機能ポータブル無線LANルータ」として、既存の単体ポータブルルータに代えて2つめの携帯機器にしてもらいたい──という思いもあるようだ。
もちろんポータブルルータとして10.1型サイズは大きすぎて、「は?」と思うのは当然だが、Androidタブレットの機能をフルに使え、メインは高速なLTE/LTE非対応エリアでも3Gで利用可能、大きいといっても薄型で重量は500グラム程度、長時間動作の大容量バッテリー+テザリング機能でスマートフォンやPCでもLTE通信の速さを享受できるとなると……バッチリありではないが、バッグに入れておけばいいだけならば決してなしでもない。
また、Xiの料金体系が変更されたことも普段よりモバイルデータ通信を利用する層として喜ばしいトピックの1つだ。
2011年9月現在、Xiデータプランは月額1000円〜4935円で利用量制限を設けない「Xiスタートキャンペーン」(2012年4月30日まで)を実施しているが、キャンペーン終了後はデータ通信量5Gバイト分まで1000円〜6510円(にねんプラン/通常料金)、それ以上の通信は2Gバイト分ごとに2625円が加算される仕組みで、料金の上限設定がなかった。
昨今、3Gデータ通信の定額制サービスはスマートデバイスの普及とデータトラフィックの急増に応じて「もうすぐ限界」と言われている。Xiの「通信量*Gバイトまで上限」はこれをふまえた「超ヘビーユーザーと一般ユーザー、それぞれ公平に使ってもらうため」に採用された施策の1つだが、(現時点はキャンペーン期間中であり、そこまでデータ通信を行うシーンは実際にはまれだが)「青天井になる可能性があるのが怖い」とする声が非常に多かったという。
それら既存XiユーザーおよびXi導入検討者が望む声を反映した新プランが「Xiデータプランフラット」と「Xiデータプラン2」だ。ポイントは最初から定額で使う人は月額コスト/バイト単価を若干下げられる“フラット”プランの追加、通信量制限を5Gバイトから7Gバイトに増加、そして通信量制限に達しても青天井にならない対策が盛りまれた。
上限5Gバイト→「7Gバイト」の増加について、NTTドコモの山田社長によると現Xiユーザーの98%は利用量7Gバイトまでに収まるということで設定した値という。そして「7Gバイト分に達した時にどうするか」を、
- 通信速度を128kbpsに制限。追加料金は発生せず(定額のまま)
- 2Gバイトごと2625円の追加料金(通信速度はそのまま)
より選択できるようにした。(1)が標準の設定、ユーザー申し込みにより(2)の課金設定に切り替わり、月が変わるとデータ利用量もリセットされる仕組みだ。
今回のLTEタブレットは、Huluなどのハイビジョン動画コンテンツやオンラインゲームサービスを快適に楽しめる利用シーンを強く訴求しつつ、テザリング機能の併用でノートPCやスマートフォンでもデータ通信を活用できる。「7Gバイトは、Huluの“通常モード”だと30時間分ほど見ると達する計算」(NTTドコモの山田社長)
となると、現在Xiユーザーの98%が収まっているとはいえ、動画利用の推進で近い将来に事情がどう変わるかという点と、一般層へ普及が進むと固定ブロードバンド回線+無線LAN環境のある自宅でも、Xi/FOMA通信を使い続けてしまうシーンがそこそこ予想されるといった影響は考えられるが、高リテラシー層の動画再生や大容量データを昼夜ガンガン通信し続ける利用、ではない一般的なデータ通信の利用範囲であれば、実質は7Gバイト分あればほぼ困らないだろう。ともあれ、料金設定が通常料金に戻る2012年5月以降、青天井で高額な料金になりかねない心配がなくなったのはユーザー心理として好条件に働くはずだ。
なお定額4410円(プラスISP料金:500円から)でXiもFOMAハイスピードも利用できる「Xiデータプランフラットにねん」のキャンペーン適用価格(2012年4月30日まで)は、同じ新世代通信規格のWiMAX(例えばUQ Flat年間パスポート:3880円/月)と、サービスエリアを補完する目的で他社3Gデータ通信手段(日本通信「b-mobileSIM/Fair」シリーズなど)を用いると想定すると、2年間の継続利用が条件ながらもそのランニングコストはなかなか魅力だ。
ノートPCでデータ通信を行うだけならタブレット+テザリング機能ではなくポータブル型でよいが、Xi契約とともにタブレットデバイスを実質安価に購入できるといった、(意外に高額な)購入時特典付き施策も家電量販店などで行われるだろう。Xi対応タブレットデバイスの登場とXi向け料金プランの改訂により、他社データ通信ユーザーも「では、Xiどうかな」と再検討する機会が改めてできた。新世代データ通信サービスでは先行するWiMAXと、ユーザー数ではまだ劣るXi(LTEサービス)、日本でも新世代サービス同士のユーザー獲得争いがいよいよ激しくなってきそうだ。
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