タブレットPCはPCビジネス全体を活性化させる役割 〜日本hpモバイルビジネス本部長インタビュー〜タブレットPCを既に発売した会社の製品中、最もユニークなマシンを投入してきたのが、日本ヒューレット・パッカードだ。開発の経緯、コンセプト、そして次世代の構想について、モバイルビジネス本部長の挽野氏に話を聞いた。人間の自然な行動・動作に近い状態で使用できる製品にしたいZD Net 大出 現在発売が始まっています「Compaq Tablet PC TC1000」ですが、こちらはアメリカ主導で作られたものですよね。 挽野 これは全世界向けの製品ですので、開発拠点はほかのノートと同じヒューストンです。ただこういうタブレットですとか新しいものは、日本のユーザー様の先進性や声が、世界の中でも重要なポイントになります。ですので開発の段階からかなり、日本側の要求というかニーズのやりとりはありました。 日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業 モバイルビジネス本部 本部長 挽野 元氏 ZD Net 大出 ちょうど統合がするかしないかという時期でのプロジェクトだったと思いますが、当初はコンパックさんの方でやられていたのでしょうか? 挽野 合併前から両社とも、タブレットだけでなくPC新しい使い方ということで、新しいコンセプト製品の研究開発というのはやってまいりました。合併前のhpでも米国では2001年11月のCOMDEXで、日本では2002年3月にコンセプトノートブックということで、A4くらいのノートで、ドックに格納するような製品のプロジェクトがありました。 それから合併前のコンパックも、2001年の5月くらいに「デュアルワールド」というデスクトップとノートのあいのこのようなコンセプトモデルを出しています。 最終的に製品として出てきた「Compaq Tablet PC TC1000」は、両者のよいところをあわせた製品で、新生hpが目指す21世紀のテクノロジリーダーを実現したデバイスと言えますす。 ZD Net 大出 「Compaq Tablet PC TC1000」の独特の形態に定まるまで、どういう経緯だったのか、非常に興味があるところです。 挽野 合併前のhpのコンセプトノートは、まさにこういうタイプでした。日本を含めて多くの国でお客様のフィードバックを聞いた際、日本の中では「大きい」「重い」という声が一番ありました。もう少し小さく、かつキーボードは使いたいと。 また、合併前のコンパックの方では米国の大学でのニーズがあったこともあり、リサーチを行っていました。ある大学の先生からすると、ディスプレイばかり見ていると、学生の目が見えないし表情が見えず、PCが間に入ると授業が円滑に進まないような気がする、などという意見がありました。また、授業中のキーボード音が気になるという話もありました。 そういったところから始まり、ペンベースで入力できるようなものはどうか、またノートPCとは違い、ペン入力の場合、同じところを見ながら同じ目線で話ができたりします。人間の自然な行動・動作に近い状態で使用できる製品にしたいということが、大きなコンセプトとしてありました。 ZD Net 大出 MSの言う“コンバーチブル”でも“ピュアタブレット”でもない独特の形に定まったのはいつごろでしょう? 挽野 2002年に入ってからです。形は最後まで試行錯誤しています。特に「Compaq Tablet PC TC1000」は、キーボードと画面を一点で回すタイプですので、中央のヒンジの部分を面で動くようにするなど、工夫しています。 中央ヒンジ部分 Compaq Tablet PC TC1000のユニークさZD Net 大出 「Compaq Tablet PC TC1000」は形態もユニークですが、スペック的にもユニークです。 挽野 電磁誘導という点では同じですが、大きな違いはペンの精度とデジタイザの精度です。実際に書き心地とか、なめらかさとか、それがかなり、結構自負している部分ございますので。ペンからパネルに書き込まれるドットの解像度の部分で、バッテリーを内蔵するメリットがあるのです。またデジタイザの部分は8,417×6,313ドット、サンプリングスピードは133.3回/secとかなり高スペックにしております。 CPUについてですが、製品デザインのフェーズでCPUをどれにするか、という話になります。「Compaq Tablet PC TC1000」には、モバイル環境での用途を追求するというデザインコンセプトがあり、持続時間を長く保たせる、静音性などの観点から選択をさせていただきました。 またユーティリティで、「Qメニュー」というジョグダイヤルで操作できる独自のユーティリティを搭載しています。タブレットPCはペンだけで入力をしなければならない時が発生します。その際にジョグダイヤル、エスケープキーなどを用意しました。 ZD Net 大出 液晶外枠のフィールドのボタンもペンに対応してますよね。このあたりは、手で押すボタンと異なり、面白い試みだと思います。 挽野 ペンを使うという意味で、ペンでだけ指示できるボタンがある方が良いのかな、と思います。ただ、こういうユーティリティーやボタン類も、必要最低限にしました。シンプルさを求められるニーズもありますから。 [大出裕之, ITmedia ] 前のページ | 1/2 | 次のページ Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. FeaturesPICK UP
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