タブレットPCはPCビジネス全体を活性化させる役割 〜日本hpモバイルビジネス本部長インタビュー〜

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まずはビジネス用途で

ZD Net 大出  実際、学校の現場などもそうですが、コンビニの店頭などの流通業務など、特定市場におけるタブレットPCのニーズはある程度確実にある、というのが現状での大勢の意見です。御社の発表でも、まずはビジネス用途だとあります。

挽野  ええ。ただこういった製品は、見ないとわからないという部分が多いです。今回は私どものサイトもずいぶん作り込みをして、Webでもある程度わかるよう細かく作っています。

ZD Net 大出  実際、「Compaq Tablet PC TC1000」にプレインストールされているツアーを見てもらうだけでも、ずいぶん理解が深まると思いますよ。実際ビジネスマーケットでの営業状況はいかがでしょう?

挽野  はい、そこはやはり弊社の売りの1つです。ソリューション活動では実際、さまざまな引き合いがございます。製造業、金融、医療、ヘルスケアなどですね。実際引き合いがどんどん増えてきています。

 現在は評価をしていただいている段階です。

ZD Net 大出  ソリューションということになると、クライアント・サーバといった話になっていきますよね?

挽野  日本hpとしてはトータルコンピューティングソリューションを持っております。企業としての力というのはやはりトータルのソリューションですね、企業として一番の強みというのを発揮できるのはそれらを合わせてどういうようにお客さんにソリューションを提供できるかというところです。

 現状のいわゆる普通のクライアント・サーバのシステムの中で、私どもの製品を上から下までというお客さんもいらっしゃいます。

 新生hpが11月1日からスタートして初のPC製品ですので、結構お客様の注目も高く、評判もかなり上がってきております。PCビジネス全体を活性化させる役割を担っている製品ですので、非常に期待は持てますね。

次世代について

ZD Net 大出  もう第2世代の開発も始まってらっしゃる?

挽野  まだそこまでは具体的には始まっていません。「Compaq Tablet PC TC1000」をベースにしたいわゆるCPUロールですとかはあるでしょう。ピュアタブレット、それからキーボードを付けた時点でノートPC、それからドッキングステーションを付けた時のいわゆるデスクトップという、3つの形態を取れるということが、「Compaq Tablet PC TC1000」の特長です。

 ただ次世代への議論は始めています。例えばスクリーンをもう少し大きくならないのかとか、あるいは厚さですね。また本体重量は1.4kg近辺ですので、もう少し軽くしたいということはあります。

 アイデアベースでは、強度です。屋外で使いたいという声もありますのでハード的にいわゆる落とした時に壊れにくいというのもありますし、それから防水とか防滴とかをどうするか、議論しています。水の中というのは半分冗談ですけども、防水、防滴というのは雨が多少降っても、という意味で重要です。

 あとは振動です。ハードディスク周りではコンポネントメーカーさんも色々工夫されていてます。業界によっては結構特殊なニーズがございますので、本体だけで対応できる部分もありますし、あるいはオプション類を合わせて、という形もありえると思います。

ZD Net 大出  温度というファクターもありえますね。倉庫など。

挽野  温度差というのもあります。例えばマイナス50度から急に零度に移動してそれでもパワーオンできるのかとか。

タブレットPCはあくまでもスタート

挽野  先ほど合併前の話をしましたが、合併前のhp、合併前のコンパック、両方とも新しいコンセプトのPCの使い方を模索していて、その形が初めて出てきたのがこのタブレットPCです。ここから先、もっともっと別の進化があるでしょう。あくまでも私はスタートだと思っています。

 例えばビジネスシーンでタブレットPCを使ってミーティングをするにせよ、タブレットPCをみんなで持ち、バーチャルホワイトボードように使っていければ、などと考えています。自分のノートではなく、コミュニケーションツールとして発展していければと思います。

 ただあくまでも気をつけるべきは、機械を使うのは人間ですので人間的な部分は忘れてはいけない、ということです。例えばタブレットPCを使用するミーティングの時に、全員で下を向いてたら変ですよね?(笑)。やはり人間ですから、同じところを見て議論することが必要です。

ZD Net 大出  まさに、ホワイトボードですね。

挽野  実際コンセプトノートブックをやらせて頂いた時も、そのノートPCだけではなく、ビジネスシーンを助けるツールということで、まず入力デバイスとしてタブレットPCのようなものがあり、なおかつホワイトボードようなものがあり、そこで確認できるといったものを組み合わせてみました。そういうことを実現できればと考えています。

ZD Net 大出  “タブレットPC”とは言っていますが、MSのコンセプトとしても入力がそれに依存してる訳ではありません。

挽野  ペンに注目がいっており、それが確かに今の時点でのウリのポイントです。ですが次世代、次々世代のことを考えるとペンだけではなくて、他の選択肢も考える必要はあります。


 タブレットPC第1世代の中で最もユニークな形態をもっていた「Compaq Tablet PC TC1000」。旧hpや旧コンパック時代よりコンピューティングの新コンセプトを模索していた同社ならではの製品だと言えよう。

 また次世代に向けた検討も、興味深いものだった。マン・マシン・インタフェースについての追求、使用環境対応の追求には、是非注力していただきたいと思う。そこの部分の革新こそが、現在タブレットPCと呼ばれるモノの核心でもあるからだ。

[大出裕之, ITmedia ]

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