サラリーマンのためのタブレットPC使いこなしガイド 第2回
OneNoteの登場でタブレットPCがいっそう身近に(2)
ノートPCとPDAの中間――普段のWindowsアプリケーションが使え、PDAなみの軽快な操作性と携帯性を持つタブレットPC。メールやWebの閲覧はもちろん、企画書を作成して他社に営業に行き会議室でプレゼンを行う……そんな今回の企画にぴったりの人はもちろん、それ以外の人にもタブレットPCとOffice OneNote 2003などのアプリケーションを組み合わせた、きっと役に立つちょっとしたノウハウを今後数回に分けて展開していく。
(第1回へ)
日本語ペン入力の欠点と失望
それから6年あまりの歳月が流れた2002年、「タブレットPC」(2002年11月7日の記事参照)が登場した。Windows XPにペン・インタフェースを実現させたこのPCに皆さんは何を望み、期待するだろうか。
タブレットPCは、ペン・インタフェースによって、場所を選ばず快適な入力と操作が実現でき、コンピューティングスタイルが大きく変化する、というフレコミによってスタートした。デスク上でしがみつくように操作していたそれまでの姿勢から脱し、ソファーに座ってリラックスしていても、あるいは立ち話をしながらでも快適に操作ができる。
その快適さを最も実感できるのは無線LANによるインターネット利用である。
タブレットPCと無線LANの組みあわせはインターネットの楽しさを、それこそ机の上の限られた世界から解放してくれるだけでなく、膝の上からも解放してくれる。お気に入りからページを選択したり、リンクをクリックして別の関連情報を閲覧したり、実に快適で直感的に操作できる。
しかし、これほど便利に感じるタブレットPCだが、実を言えば私にとって実用に耐えがたい二つの不満がある。
一つは「実用性に乏しい日本語入力」だ。
見たいページを探そうと検索サイトにアクセスし、検索ワードを入力しようとした瞬間、思い通りにスラスラと事が運んでいたあの快適さはどこかに消え失せてしまう。テキスト変換入力であっても、画面上にソフトウェアキーボードを表示して入力するテキスト入力であっても、キーボードよりはるかに遅く、じれったく感じたのである。
これはご存じ日本語の複雑さに起因するところだ。50音のひらがな/カタカナに加え、膨大な漢字、英語や数字の混在など、入力を複雑にする要因は山積されていて、これを解決するのは容易ではない。アルファベットと数字、いくつかの記号だけで構成されている英語とはずいぶんと環境が違うのである。実際にタブレットPCの多くは、日本語入力をそれほど必要せず、チェックやいくつかの項目から選択する医療分野や不動産、工場などの現場で使われ始めていると聞く。
もちろん、これは決してネガティブなだけの欠点ではないし、汎用性も重んじる一般ユーザーは、それを補うことができるタブレットPCを選択すればよいということにもなる。テキスト入力が必要な現場では、キーボードを併用すればよいだけの話であり、「ノートパソコン+ペン・タブレット」というコンセプトのタブレットPCであれば、プラスαの付加価値であることには違いないのである。
汎用ソフトウェアを利用する場合、一般のノートPCとして利用する方が便利なときもある。これは一見してノートPCだが、画面はペン入力が可能なタイプのタブレットPC。ペン入力とキーボード入力を使い分けられる
タブレットPCとして使用するときは画面を180度回転させて、逆に折りたたむこともできる。日本語入力などを頻繁に行わないアプリケーションや手書き操作が中心の場合は、このピュアタブレット・ライクの形態で使用する方が便利だ
OneNoteが変えるタブレットPCの可能性
タブレットPCに対するもうひとつの不満は「タブレットPCを活かす最適なアプリケーションが現状さほどないと感じた」ことだ。
私が普段利用しているソフト、つまりメールソフトやWord、Excel、デザインや企画書を作成するときに使用している画像処理ソフト、DTPアプリケーションをタブレットPCで使う必然性はなかった。これは、いわばタブレットPCの存在意義に関わる大きな課題だと考える。
「企画書原案の一部に手書きの感覚でデザインラフを書き足したい」ときに、WordやPhotoshopをわざわざ起動するのではやや面倒で時間がかかるし、「メモ代わりに情報を書き留めておき、あとで簡単にまとめたい」「アイディアを落書きのように画面上で書き綴りたい」と思ったときには、単なる手書きメモ帳に過ぎないWindowsジャーナルでは紙のメモ帳やアイディア帳とさして変わらず、活用面で役不足だった。
しかし、この不満は2003年秋、Officeシリーズのひとつとして、新しい分野への挑戦を担う「デジタルノートアプリケーション」の登場で解消され、今後がとても興味深いものに変わった。それがメモ帳やアイディア帳、システム手帳を丸ごとデジタル化する……情報を取り扱い、情報で勝負するすべての人々に向けた「Office OneNote 2003」だ。
次回から、OneNoteの特長と魅力、タブレットPCならではの操作方法を初級向けに解説していくのでお楽しみに。
(第3回へ続く)
著者紹介
神崎洋治:
トライセック代表取締役。パソコンや周辺機器、インターネットに詳しいコラムニスト。シリコンバレー在住時は、取材による米ベンチャー企業の最新技術動向をレポート。ペン・コンピューティングデバイスの先駆けである「Palm Pilot」を、製品写真や開発者取材を通して日本のメディアに初めて紹介したひとり。
マーケティングにも精通し、ライターやデザイナーとしても幅広く活躍中。主な著書は「ひと目でわかるMicrosoft Office OneNote 2003 マイクロソフト公式解説書」「学び直すDVDのしくみ」(日経BPソフトプレス)ほか。
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[神崎洋治(トライセック), ITmedia
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