「Androidは年内」――マルチブランドで国内外の端末市場に挑むNECカシオ
「今までの事業領域をコツコツとやっていても事業は広がらない」――NECカシオモバイルコミュニケーションズでは、NEC、カシオ、日立のそれぞれのブランドや得意領域を生かした製品展開に加え、クラウドサービスとの連携で商品力の向上を図る。さらに、Android端末を「年内に出す方向で進めている」というコメントも。
NECカシオモバイルコミュニケーションズ(以下、NECカシオ)は5月25日、6月に事業統合するカシオ日立モバイルコミュニケーションズ(以下、カシオ日立)とともに夏商戦向け携帯電話の発表会を開催し、今後の事業戦略を説明した。同社では既存の企業ブランドや商品ブランドを活用し、各社の得意領域をさらに強化するほか、NECが注力するクラウドサービスとの連携によって商品価値を高めていくという。
「3つの大きな軸」に注力
携帯電話の端末市場が縮小する中、NEC、カシオ計算機、日立製作所の3社は生き残りをかけて携帯電話事業を統合する決断を下した。3社の受け皿であるNECカシオは5月1日から営業を開始。6月1日にはカシオ日立を吸収合併する。
NECカシオの山崎耕司代表取締役社長は、「今までの事業領域をコツコツとやっていても事業は広がらない。新しい領域や市場を開拓しなければ生きていけない」と現状を捉え、国内市場での巻き返しや海外展開に向けた戦略として「3つの大きな軸」を挙げた。
1つは、「マルチブランドの徹底活用」だ。3社の企業ブランドはもちろん、「EXILIMケータイ」や「Woooケータイ」といった各社の商品ブランドを幅広く利用して販売台数の増加につなげていくという。
「3社の得意領域の強化」も戦略として掲げる。カメラや映像、タフネス技術といった各社が注力する技術をさらに磨き上げ、それらを融合することで商品力を向上させる考え。また、カシオの電子辞書や日立の家電製品などを例に挙げながら、3社の携帯電話以外の資産を商品開発に生かせることに山崎氏は期待を示す。
NECが注力する個人向けのクラウドサービス「パーソナルクラウド」と端末との連携も、他社との差別化ポイントとみる。「スマートフォンがちまたでは話題になっているが、ただスマートフォンを出してもだめ。いかにクラウドと連携して商品のバリューを上げるかが、会社を強くする鍵になる」(山崎氏)
国内では低価格帯の端末ラインアップを拡大するほか、国内外にスマートフォンを投入し、事業の拡大を図る。また、海外事業では北米のVerizon Wirelessに端末を提供しているカシオ日立の資産を活用し、将来的には欧州、インドなどでも事業を展開したい考えだ。
海外市場で成功するための要素として山崎氏は、個性のあるブランドや端末の必要性を説いた。同氏は、カシオ日立が北米市場で事業を展開できた理由を「ユニークな商品を持っているから」と分析する。「単なる携帯電話ではなく、防水・防塵・耐衝撃といったユニークな特徴が北米で受け入れられている」(山崎氏)
2010年度は国内で500万台程度、海外で250万台程度の出荷を計画しており、2012年度には世界的な出荷台数を1200万台にまで引き上げる目標という。また、山崎氏は「2年以内に“びっくり”のある商品を提供」することや、「3年以内に国内1位の端末メーカーになる」こと、「4年以内に2000万台、8年以内に5000万台を出荷する」ことなどを自身の目標に掲げ、事業を世界規模て展開する意欲を見せた。
Android端末は年内に発表
夏モデルでは、DLNA対応機器と連携できる無線LAN対応モデル「N-04B」や、PCが遠隔操作できる“フルキーボードケータイ”「N-08B」など、携帯の新しい利便性を提案する端末を発表した。また、将来的な商品化を目指して、3DやAR(拡張現実)を使ってユーザーが見たい情報を簡単に探し出せる技術や、端末の学習機能などの開発も進めているという。
スマートフォンの事業展開に関しては、同社の山品正勝常務が「Android端末を年内に出す方向で進めている」とコメント。具体的な時期やスペックは明らかにされなかったが、標準のAndroidにはない同社ならではの機能を実装したものになると説明した。
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