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iPhone 4が「再び、すべてを変える」神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

モバイルインターネットやデジタルコンテンツの進化に影響を与えてきたiPhoneの最新モデル、「iPhone 4」は、再びモバイル業界に大きなインパクトを与えそうだ。iPhone 4の魅力と優位性、そしてその影響を考える。

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iPhone 4+iOS 4.0でエコシステムも強化

 iPhone 4を取りまくエコシステム(経済的な生態系)にも目を向けてみよう。

 周知のとおり、これまでのiPhoneの優勢は、iPhoneそれ自体の製品の魅力だけでなく、Appleがコンテンツやアプリが流通しやすい環境を作り、そこで多くの魅力的なソフトウェアやサービスが流通する「エコシステム(経済的な生態系)」が醸成されることによって作りあげられてきた。iPhoneという“器”の可能性を大きく引き上げて、多様なユーザーを惹きつけたのがコンテンツやアプリだったのだ。

 このエコシステムは今やApple最大の資産になっている。WWDC10のキーノートスピーチではその一端が公開された。App Storeに登録されているiOS対応アプリは22万5000本であり、ダウンロード数は50億を超えた。有料アプリ市場は拡大を続けており、Appleは10億ドルを開発者に支払ったという。iOSの対応端末は、iPhone/iPod touchに加えてiPadも好調に普及し始めており、6月中に1億台を突破する見込みだ。これは任天堂の「ニンテンドーDS」に匹敵する、巨大なモバイルコンテンツ/アプリケーションのプラットフォームである。

 iPhone 4+iOS 4では、このエコシステムがさらに進化する。まず開発者が新たに使えるAPIは1500項目が追加され、アプリ開発の可能性はさらに拡大した。とりわけ注目なのが、先述した6軸センサーや高画素化したカメラによる写真/動画を用いたアプリだろう。位置情報やセンサーの活用、画像編集などは日本のコンテンツプロバイダーも強い分野でもあるので、日本製アプリの登場にも期待できる。さらにiOS 4ではマルチタスクが実現するため、従来は難しかった常駐型のユーティリティアプリも登場しそうだ。

PhotoPhoto iOS 4の登場により、1500以上のAPIが新たに公開される。これによって、エコシステムはさらに進化する

 他にもiPhone 4の高解像度化にあわせて、Twitterなど文字主体のソーシャルサービスや電子書籍も従来よりさらに使い勝手がよくなる。基調講演ではiBookstoreの機能強化が紹介され、iPhone 4向けの電子書籍市場への期待が語られたが、日本でのiBookstoreが開始されるかは不分明。しかしiPad登場により、アプリでの電子書籍コンテンツ供給は日本でも活発化しているため、iPhone 4の登場によってこの分野も市場が拡大しそうである。

 エコシステム全体を見れば、iOS対応端末の普及速度加速と増加による市場規模の拡大と、iPhone 4が先鞭を取る機能面の強化が同時に起こる。さらに筆者のコラムで度々繰り返してきたが、Appleのストアは認証課金システムがきちんと整備されており、アプリやコンテンツを収益化するツールが豊富だ。今回、新たにモバイル広告プラットフォームの「iAd」の開始も伝えられ、アプリやコンテンツの開発企業はビジネスモデルの選択肢が増えている。

 昨年のWWDC09では、iPhoneのコンテンツ/アプリ市場は新興企業でも急成長する例が多数登場したことから、「ゴールドラッシュ」と言われた。しかし今は競争も激しくなり、ユーザーの目も肥えてそういった一攫千金は難しくなった。しかし、その一方で、iPadやiPhone 4などの新端末と、iOS 4、そしてiAdなど新機能の登場によって、きちんとした戦略を持って臨んだ企業は確実な成功を収められる状況になっている。iPhoneを取りまくエコシステムは熱狂的なブームから、着実な市場として成長してきており、それが「iPhoneの優位性」をより強化しているのだ。

iPhone 4が変えるもの

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 “This changes everything. Again.”

 この言葉どおり、iPhone 4は再びすべてを変える力を持っている。シンプルだが秀逸なデザインや、美しく見やすいディスプレイ、そして画面に指を走らせただけで分かる気持ちのよいユーザーインタフェースは、見て触った人を確実に魅了するだろう。その高い店頭訴求力と競争力はモバイルビジネスに大きな影響を及ぼし、モバイルインターネットやデジタルコンテンツの世界も変えるだろう。かつてiモードが登場したときのように、人々のライフスタイルすら変えていく力も秘めている。その変化と可能性を知るには、まずは「触ってみる」ことだ。

 幸運なことに、日本は米国と並ぶ世界先行発売国の1つだ。iPhone 4がどれだけ変わったか。そして、どれだけ世界を変える力があるかを体験することができる。

 6月24日、日本にiPhone 4が上陸する。


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