厚さ9.3ミリ、高精細ディスプレイ搭載の「iPhone 4」発表:6月24日発売、iPhone OSは「iOS」に
米Appleが、開発者向けの年次イベント「Worldwide Developers Conference 2010」で、次期iPhone「iPhone 4」を発表した。日本でも、米国と同じく6月24日に発売される。iPhone OS 4から改称した「iOS 4」のアップデートは6月21日に配布予定。
米Appleが6月7日(現地時間)、開発者向けの年次イベント「Worldwide Develpers Conference 2010(WWDC10)」の基調講演で、新型iPhone「iPhone 4」を発表した。カラーバリエーションは白と黒の2色で、ストレージ容量は32Gバイトと16Gバイトの2種類。
iPhone 4の発売は、6月24日。米国だけでなく、日本、英国、ドイツ、フランスでも24日に販売を開始する。また米国では6月15日から予約を受け付けることも明らかにされた。米国での価格は32Gバイト版が299ドル、16Gバイト版が199ドル(いずれもAT&Tとの2年契約をした場合)。日本国内での販売方法や価格は不明だが、ソフトバンクモバイルからは近日中に何らかの発表があるだろう。
「iPhone OS」は、最新となるバージョン4から名称を「iOS」へと変更する。iOS 4はゴールデンマスター(最終リリース候補)の配布準備が整っており、開発者は6月7日から入手できる。iPhone 3G/3GSおよびiPod touch向けのiOS 4へのアップデートは、6月21日から配信する。なお初代iPod touchと初代iPhoneは今回のアップデートには非対応。iPhone 3Gはアップデートはできるものの、マルチタスクなど一部の機能が利用できない。アップデートはiPod touchも含めて無料で行える。
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デザインはリーク情報どおり
iPhone 4の外観とスペックは、各所で確認されていたリーク情報とほぼ同じ。厚さ9.3ミリの薄型ボディに3.5インチのIPS液晶ディスプレイを搭載する。ディスプレイ面はヘリコプターや高速鉄道のフロントガラスなどに用いられるアルミノケイ酸ガラスを採用した。裏面もフラットな仕上げになっている。表面と裏面には疎油性のコーティングが施されており、光沢のあるボディながら指紋が付きにくくなっている。側面の銀色の帯は、Bluetooth、Wi-Fi、GPS、UMTS、GSMのアンテナを兼ねているのも特長だ。
外形寸法は幅58.6×高さ115.2×厚さ9.3ミリで、重量は137グラム。iPhone 3GSは幅62.1×高さ115.5×厚さ12.3ミリで重量135グラムだったので、心持ち重くなったが一回り以上小さくなっている。SIMスロットはiPadと同じ、Micro SIM対応のものとなっている。
本体には、これまでのiPhoneと同様、前面にホームボタンを備えるほか、右上にスリープ/スリープ解除ボタン、左側面にマナーモードのスイッチと音量調整ボタンを用意する。マイクは本体下部のものに加え、ノイズキャンセル用としてイヤフォンジャックの隣にもう1つ装備している。
高解像度化したディスプレイ
特筆すべきはディスプレイの解像度。iPhone 3GSまでは、ディスプレイの解像度はハーフVGA(320×480ピクセル)だったが、iPhone 4では640×960ピクセルへと、一気に4倍の高解像度化を果たした。これにより、326ピクセル/インチという、人間の目がドットを認識する限界といわれる300ppiを上回る精細化を実現している。コントラスト比は800対1。Appleはこれを“Retina Display”(網膜ディスプレイ)と名付けた。
既存のアプリケーションは、iPhone 4上では拡大表示されるが、フォントなどはiPhone 4の解像度に合わせて精細に描画する機能を搭載する。ただ、Appleでは高解像度対応にアップデートすることを推奨している。
低消費電力かつ高性能なA4プロセッサ
プロセッサは「iPad」と同じ、Appleが独自に開発した「A4」を採用する。動作クロックは明らかにされていないが、マルチタスクも軽快に動作することなどを勘案するとかなり快適に利用できそうだ。A4プロセッサを採用したことでバッテリーの持ちも良くなっており、3Gでの連続通話は420分、連続待受時間は約300時間を実現。3Gのパケット通信も最大6時間(360分)、無線LANなら最大9時間(540分)利用可能だ。ビデオ再生は最大10時間、オーディオ再生は最大40時間行える。
3Gの通信速度は下りがHSDPAの最大7.2Mbps、上りはHSUPAの最大5.8Mbps。UMTS/HSDPA/HSUPAの周波数帯は850MHz、900MHz、1900MHz、2100MHzに対応する(GSM/EDGEは850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz)。無線LANはIEEE802.11b/gに加え、新たにIEEE802.11nもサポートした。
新たにジャイロセンサーを搭載
iPhoneやiPod touch、iPadには、端末の傾きや動きを検知する加速度センサーが搭載されているが、iPhone 4ではさらに3軸ジャイロセンサーを搭載した。ジャイロセンサーは加速度センサーと組み合わせると、前後左右上下の6軸の動きを詳細に検出可能。これにより、新しいタイプのゲームやアプリケーションの登場が期待される。日本にも6軸のモーションセンサーを搭載していたケータイはあったが、残念ながらあまり活用されていなかった。iPhone 4でこうしたデバイスがどのように利用されるかは非常に興味深い。
このほか、A-GPSや電子コンパス、近接センサー、環境光センサーといった、iPhone 3GSに搭載されていたセンサーも引き続き装備する。
HD動画撮影にも対応した5Mピクセルカメラ
iPhone 3GSで3Mピクセルだったカメラは、ついに5Mピクセルに高解像度化した。しかし、センサーサイズは大型化しており、画質はiPhone 3GSよりも高いという。撮像素子は、CCDとCMOSそれぞれの欠点を解消したといわれる裏面照射型CMOS。AFを備え、撮影時には画面上の任意の場所をタップするとその場所にピントと露出を合わせる“Tap to focus”が利用できる。カメラの横にはLEDフォトライトを備え、暗い場所での撮影の際に光って明かりを補うことが可能。5倍のデジタルズームも搭載した。
また動画撮影機能はHD(ハイビジョン)に対応。解像度は720p(1280×720ピクセル)で、30fpsでの撮影をサポートしている。動画撮影機能には簡易編集機能やワンクリックで共有サイトへ投稿する機能なども用意している。さらに本格的にiPhone上で動画編集がしたい人には「iMovie for iPhone」も有償で提供予定だ。App Storeから4.99ドル(600円?)で購入できる。
またレシーバーの右横、ディスプレイの右上には、小型のインカメラも搭載した。画素数は不明だが、「VGA画質の写真とビデオ」が撮影できるとされているので、30万画素程度のスペックと思われる。
iPhone OSは「iOS」に アップデートは6月21日から
iPhone 4のOSは、4月9日に発表された「iPhone OS 4」となる予定だったが、名称は「iOS」に改称された。iOS 4は、開発者向けの1500以上の新しいAPIや、マルチタスクを含む、エンドユーザー向けの100以上の新機能が盛り込まれた新OS。恐らくこのOSが、iPhoneだけでなく、iPod touchやiPadにも搭載されることから、名称を変更することにしたのだろう。
iOS 4の詳細は既報の通りなので、ここでは細かくは触れないが、マルチタスクやアプリのフォルダ格納機能、強化されたメール機能、iBooksといった新機能がいよいよ利用可能になる。
既存のiPhone 3GおよびiPhone 3GS向けには、iOS 4へのアップデートが6月21日から配布される予定だ。アップデートは無料で行えるが、iPhone 3Gではマルチタスクなど一部の機能が利用できない。iPod touchも、初代は非対応ながら、第2世代と第3世代の製品は無料でアップデート可能。iPadも将来的にアップデートされる予定だが、期日は明言されなかった。
ちなみにiBooksは、iOS 4の配布開始に合わせて機能が強化される。要望が多かった、PDFファイルの表示に対応するのだ。メールに添付されたPDFファイルは、自動的にiBooksのPDFシェルフに格納する仕様になるもよう。なおiBookstoreで購入した書籍データは、無料で同じアカウントを設定したiPadやiPhone、iPod touchに転送できるという。デバイスごとにデータを購入する必要がないのはありがたい。
Wi-Fi経由のテレビ電話「FaceTime」も提供
一連のiPhone 4の新機能紹介のあとで、「One more thing」として紹介されたのは、テレビ電話機能「FaceTime」だった。パケット通信を使う点が、一般的な回線交換式の3Gのテレビ電話とは異なるが、原理はほぼ同じ。新たに搭載されたインカメラを活用し、相手の顔を見ながら話すことができる。特別な設定は必要なく、お互いが無線LANの圏内にいれば利用可能。当面は3G通信を利用してのビデオチャットはできないものの、将来に関しては含みを持たせた。
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