2020年までに、営業利益1兆円目指す――ソフトバンクの孫氏
過去最高益の増収増益で、幸先がいいスタートを切ったソフトバンク。モバイルインターネットNo.1に向けた取り組みを強化し、2020年までに契約数4000万、営業利益1兆円を目指す。
ソフトバンクグループが7月28日、2011年度第1四半期の決算を発表した。累計売上高は前年比9%増の7642億円、営業利益が前年比12%増の1758億円で増収増益となった。
ソフトバンクは売上高が3期連続、EBITDAが8期連続、営業利益が6期連続で過去最高を記録。今期もiPhone/iPadが好調な移動体通信事業がけん引しており、売上高は5141億円、営業利益は1165億円に達している。
同社代表取締役社長の孫正義氏は、7月25日に決算を発表したKDDIを引き合いに出し、「営業利益だけでなく、純利益でもKDDIを逆転した」と胸を張った。
ウィルコムと合わせた契約数で3000万を突破
移動体通信事業は、iPhoneとiPadを中心とするスマートデバイスの販売が好調に推移しており、これが同社の好決算につながっている。第1四半期の純増数はドコモの41万、KDDIの35万を大幅に上回る73万を記録。番号ポータビリティでも3キャリアのうち唯一、転入が転出を上回った。
契約数も、2010年末に同社のグループ会社となったウィルコムが、四半期ベースで5年ぶりに20万超の純増を達成するなど好調に推移。ソフトバンクモバイルとウィルコムを合わせた契約数は3000万を突破した。
音声収入が落ち込む中、それに代わる収益源として期待されるデータARPU(ユーザー1人あたりの平均月間データ収入)は、前年同期比190円増の2440円に達し、ARPU全体の58%をデータARPUが占める計算になる。孫氏によると、このデータARPU比率は世界トップで「海外はSMSのデータを含めても30〜40%の水準。(ソフトバンクは)世界でも最先端を走っている」と自信を見せた。
2020年までに「契約数4000万、営業利益1兆円」目指す
孫氏は同社が成長戦略として掲げる「勝利の方程式」にも言及。その一角を成す「モバイルインターネットNo.1」の実現に向けた取り組みや、それを後押しするトレンドについて説明した。
1つは、iPhone/iPad市場のさらなる成長だ。iPhoneについては、iPhone新規契約者の女性比率が5割を超えたことに加え、ソフトバンクモバイルに新規で契約する学生の7割がiPhoneを選んでいることを紹介。ユーザーのすそ野が急速に広がっていることを印象づけた。
さらに、今秋からサービスが始まるアップルの「iCloud」が、iPhoneとiPadの販売を後押しするとみる。スマートデバイス向けには、すでにさまざまなクラウドサービスが登場しているが、iCloudは「直感的にシンプルに美しく使える」と孫氏。使いやすいクラウドサービスの登場で、iPhoneとiPadを両方持つことの便利が実感できるようになると強調した。
クラウドサービスを快適に利用するために重要な役割を果たすネットワークについては、すでに2年で1兆円を投資すると発表しており「何年か後には、『ソフトバンクの電波はあまりよくなかった』と笑い話で言えるようにしたい」と孫氏。こうした取り組みにより、2020年までの契約数4000万突破と、営業利益1兆円突破を約束するとした。通信キャリア各社の2010年度の営業利益は、NTTドコモが8447億円、KDDIが4719億円となっており、「現在のドコモさんより大きく利益を稼ぎ、1兆円に乗せる」と意気込んだ。
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