夏を前にしてLED照明を導入する事例が増えている。森ビルは、従来のLED照明に問題を感じ、照明器具を自社開発した。同社がそれまで提供していた照明機器と比較して消費電力量を52%削減できるという。8月に竣工するビルに初めて導入する予定だ。
森ビルはビル向けのLED照明を自社で独自開発し、2012年8月竣工予定の「アークヒルズ 仙石山森タワー」(東京都港区)に導入することを明らかにした(図1)。同社は独自にLED照明を研究し、消費電力量が低いという特長はそのままに、光の質を改良したという。
同社は、LED照明の消費電力量の低さは評価しながら、机上や紙の上などで反射しやすいという点や、光が粒状になってしまいがちであるという点、青みが強すぎてまぶしすぎることがある点などを問題視し、独自にLED照明の機器を開発したという。
上記の問題を解消するために、森ビルは主に3つの工夫を加えた。1つ目は複数のLED素子を並べ、それをまとめて横断するように蛍光体を載せたという点。これにより、光が粒状になってしまうという問題を解決した(図2)。
2つ目は色温度を4000Kと低めにしたこと。これで反射しやすいという問題や、青みが強いという問題を解決できる。3つ目は、照明器具を覆うカバーに光を拡散させやすい素材を採用したこと。上記3点の工夫により、同社は「柔らかい光」を実現できたとしている。平均演色評価数(Ra)は84と蛍光灯と同等の値を維持している。
消費電力量は、同社が従来提供していた照明器具を比較して52%削減できるという。今後は、森ビルが手がけたビルへの導入をすすめるほか、同社が新築するビルに採用していく予定。照明器具単独で販売する予定はないという。
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