再生可能エネルギーのひとつであるバイオマスの利用拡大に向けて、農林水産省など7つの省庁が連携して「バイオマス事業化戦略」を策定した。2020年度にバイオマス関連産業を5000億円の規模に拡大することを目標に、各種の廃棄物をエネルギーに変換するための技術開発を加速させる。
政府は2010年12月に決定した「バイオマス活用推進基本計画」の中で、バイオマスを活用した新しい産業を2020年度に5000億円の規模に発展させる目標を打ち出していた。その実現に向けた具体的な方針を、農林水産省など7つの省庁による連携会議が「バイオマス事業化戦略」として9月6日に発表した。
バイオマスは植物などの有機物をエネルギーに変換したもので、今回の戦略の中核になるのはバイオマスの技術開発である(図1)。特にバイオマスの対象として注力する素材は、用途のない木材、食品廃棄物、下水汚泥、家畜排せつ物、の4種類である。現状では利用価値の低い素材をガスなどの燃料に変換して、バイオマス発電やバイオマス熱として利用できるようにする。
国内でバイオマスとして利用可能なものをエネルギーに変換すると、電力に換算して年間で約220億kWh、460万世帯分の電力使用量に相当するという。再生可能エネルギーの固定価格買取制度では、バイオマスによる電力の買取価格は種類によって13円〜39円/kWhに設定されている。平均で26円/kWhと想定すると、220億kWhの電力を生み出すことができれば、5000億円以上の規模になる。
これだけのポテンシャルがあるバイオマスの事業化に向けて、政府が中心になって主要な技術に関するロードマップを作成し、さらに全国の自治体にバイオマスを活用した事業を促進していく。2020年度には600市町村でバイオマス事業が展開されることを目指す。
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