スマートメーターで電力の自由化を後押し、2016年4月にデータ提供開始へ電力供給サービス(1/2 ページ)

政府が2016年に実施する小売全面自由化に向けて、全国の電力会社が家庭向けのスマートメーターの導入計画を前倒しする。東京電力は2020年度末、最も遅い沖縄電力でも2024年度末に設置を完了する計画だ。合わせて30分単位の電力使用量のデータも2016年4月までに各社が提供を開始する。

» 2014年03月18日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「電力小売の全面自由化が始まると、スマートメーターを設置した家庭とそうでない家庭で不公平感が生じかねない」。政府が主宰する検討委員会の指摘を受けて、各電力会社がスマートメーターの設置計画を前倒しすることが明らかになった。

 家庭を中心にした「低圧」の利用者に対して最も早く導入を完了するのは東京電力で2020年度末を予定している。次いで中部電力と関西電力が2022年度末、そのほかの6電力会社は2023年度末になり、沖縄電力だけは2024年度末に完了する。それでも沖縄電力は当初2032年度末だった導入完了時期を8年も前倒しした(図1)。

図1 電力会社10社が低圧の利用者向けにスマートメーターを導入する時期(2013年9月時点の計画から変更した内容)。出典:資源エネルギー庁

 これに合わせて各電力会社はスマートメーターで取得できるデータの提供開始時期も早める。スマートメーターのデータは提供先の違いによってA・B・Cの3ルートに分かれている(図2)。このうち電力会社向けのAルートと利用者向けのBルートの実施時期がおおむね確定した。

図2 スマートメーターのシステムと課題(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 Aルートの情報は電力会社が自動検針のために収集する30分単位の電力使用量で、このデータを電力会社は見える化サービスを通じて利用者に提供する。すでに関西電力が開始しているほか、東京電力と北陸電力が2015年7月から全エリアの利用者を対象に開始する予定だ。2017年度中には北海道電力と東北電力がサービスを開始して、全国各地で本格的な展開が始まる(図3)。

図3 電力会社10社がスマートメーターから得られるデータを提供開始する時期(元の資料にある電力会社ごとの注釈は省略)。出典:資源エネルギー庁

 もう1つのBルートでは、スマートメーターから利用者のHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)に直接データを送る。Aルートと違ってリアルタイムにデータを供給することができるため、デマンドレスポンスなどに対応しやすくなる。10社の電力会社すべてが2016年4月までに、エリア内の希望者に対してBルート経由のデータを提供開始する予定だ。

 こうしたデータ提供サービスの開始に備えて、スマートメーターの設置が遅れている中国電力と沖縄電力は2015年度中に一部の利用者に対してスマートメーターの導入を開始したうえで、2016年度から本格展開する。同様に2016年度からスマートメーターの本格展開を予定している九州電力は2014年度中に試験導入を開始する計画である。

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