資源エネルギー庁と国交省が主催する洋上風力関連のワーキンググループで、洋上風力事業を確実に完遂させるための今後の事業環境整備の方針や、公募制度の変更内容案が公表された。
洋上風力発電は2030年までに10GW(1,000万kW)、2040年までに30〜45GWの案件を形成することが政府目標として示されるなど、大量導入と大幅なコストダウンが期待される再エネ電源の一つである。
洋上風力発電事業は投資額が大きく総事業期間も長期間であるが、ウクライナ危機以降、インフレ傾向が強まってきたことから、資源エネルギー庁「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」と国土交通省港湾局「洋上風力促進小委員会」は、2024年9月開催の第26回合同会議以降、継続的に「洋上風力事業を確実に完遂させるための事業環境整備」の議題を掲げ、これまで入札保証金制度や迅速性評価、供給価格評価方法の見直し、価格調整スキームの導入などについて検討を行ってきた。
ところが、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業者の初回公募、いわゆる第1ラウンドで3区域のすべてを落札した三菱商事グループは、2025年8月27日にこれらすべての事業開発を中止することを公表した。
同社の撤退は、すでに事業者選定済みの第2ラウンド(4区域・計約180万kW)、第3ラウンド(2区域・計110万kW)を取り巻く環境にも大きな影響を与えている。
エネ庁・国交省の第39回合同会議では、第2・第3ラウンドの事業を完遂させるとともに、日本の洋上風力産業の基盤を確立させるため、さらなる事業環境整備の案と今後のラウンドに向けた新たな公募制度の案が示された。なお本稿では、合同会議を洋上風力WGと略すこととする。
現在、再エネ海域利用法の洋上風力公募では、海域の占用許可を取得する上でFIP制度の適用が前提とされている。
容量市場制度の一つとして2023年度に開始された長期脱炭素電源オークションは、固定費水準の容量収入を原則20年間支払うことにより、巨額の新規電源投資に長期的な収入の予見可能性を与える制度である。制度上は、洋上風力も同オークション(長期AX)への参加が可能であるが、FIT/FIP案件は固定費の二重回収を防止する観点から、FIT/FIP制度適用期間中は長期AXへの参加が認められていない。
なお、第2・第3ラウンドでは、長崎県江島沖公募案件を除くすべての案件で、再エネ賦課金の発生が見込まれない、いわゆるゼロプレミアム水準(3円/kWh)で入札しており、FIP制度の適用期間中に長期AXへの参加を認めたとしても、バランシングコスト相当分のFIP交付金を除き、固定費の二重回収の問題は生じない。
仮に第2・第3ラウンドで撤退が生じた場合、当面の大規模脱炭素電源が失われるだけでなく、洋上風力の将来的なコスト低減に不可欠な国内サプライチェーン等の構築にも大きなダメージとなることが懸念される。
このため洋上風力WGでは、第2・第3ラウンド案件に限り、ゼロプレミアム価格であること、またバランシングコスト相当分のFIP交付金を受領しないことを条件として、長期AXへの参加を例外的に認めることとした。なお、これまでゼロプレミアム水準とは「3円/kWh」を意味してきたが、プレミアム発生の可能性を完全に排除するため、公募占用計画における供給価格を0円/kWhに変更することが条件とされる。
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