費用負担や需要創出が課題に 「SAF(持続可能な航空燃料)」導入促進に向けた基本方針第8回「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」(1/3 ページ)

航空分野のカーボンニュートラルに向けて世界で利用が進んでいる「SAF(持続可能な航空燃料)」。国内でのSAF普及に向けた施策を検討する官民協議会は、国による規制と支援措置や、民間事業者が取り組むべき内容などの基本方針について、中間とりまとめを行った。

» 2026年02月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 航空分野のカーボンニュートラルに向けて、「国際民間航空機関(ICAO)」は2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする長期目標を採択している。この実現に向けては「持続可能な航空燃料(SAF)」の利用が中心的な役割を果たすものと期待されており、2050年のSAF需要は世界全体で約4.5億kL、日本では約2,300万kLに上ると推計されている。

 国は2030年時点のSAF使用量として、「本邦エアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換える」との目標を設定しており、「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」では2030年時点の国内SAF利用量(本邦+外航)を172万kLと推計している。

図1.国内におけるSAFの需要と供給 出典:SAF官民協議会

 SAFの国産化は、カーボンニュートラル実現だけでなく、産業競争力やエネルギー安全保障の観点からも重要である。現在国内では、5つの商用規模SAF製造プラントに係るFEED(基本設計)が実施中であり、2030年の国産SAF大規模供給に向けては、遅くとも2026年度中に最終投資決定(FID)することが必須とされている。

 SAF導入に伴う追加的な費用の負担の在り方やSAF需要の創出が世界共通の課題である中、SAF官民協議会は「更なるSAF導入促進策検討タスクフォース」を設置し、2026年1月に、国による規制と支援の一体的な措置や民間事業者の取り組むべき事項について中間取りまとめを行った。

図2.主な国内SAF製造プロジェクト 出典:脱炭素燃料政策小委員会

社会的受容性を考慮した規制的措置の導入

 SAFの供給に向けた最も直接的な手法は、供給業者に対する法的な義務付けであり、すでに諸外国ではジェット燃料供給事業者に対して、対象年ごとの一定比率のSAF供給を義務付けており、段階的に義務量を引き上げる予定としている。

表1.諸外国におけるSAF供給義務量 出典:SAF官民協議会

 日本でも「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、2030〜2034年度の5年間を対象期間として、ジェット燃料製造・供給事業者に対して、一定量(※)以上のSAF供給を義務付けることが第16回「脱炭素燃料政策小委員会」(2024年9月)で合意済みである(※2019年度に日本国内で生産・供給されたジェット燃料×SAFの混合率10%×GHG削減効果50%相当)。

 導入促進TFの中間取りまとめ「更なるSAF導入促進に向けた基本方針」では、社会全体及び特定の主体に過大な負担を生じさせないことを前提として、規制的措置に基づく導入数量は小規模な水準から始め、段階的に拡大していく予定としている。

 なお、規制的措置の導入に際しては、SAFの現物やその環境価値を適切に管理・移転するための登録簿等の整備が必要である。今後、IATA(国際航空運送協会)の「CADO SAF registry」等を参考に、「ブック&クレーム」方式によるSAFの取引プラットフォーム等の整備を検討する予定としている。

図3.SAF取引プラットフォームの実証例 出典:SAF官民協議会
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