昨今のインフレを踏まえ、昨年度の洋上風力WGでは制度の見直しを行い、資材価格等の変動を基準価格/調達価格に反映する「価格調整スキーム」を次回以降の公募から適用することとした。また、事業者選定済みの第2・第3ラウンド案件についても、保証金の増額等の新制度を受け入れることを前提として、価格調整スキームの適用を事業者が選択することが可能である。
ただしこの価格調整スキームは、公募の公平性や国民負担への中立性を確保する観点から、当該措置適用後の「将来」の物価変動のみを調整対象としているため、事業者からは、「公募開始時点以降の物価変動の全て」を反映してほしいとの要望が寄せられている。
仮に価格調整の適用範囲を拡大する場合、実質的にこの措置の効果が見込まれる案件は、ゼロプレミアムではない長崎県江島沖公募案件のみと考えられ、他の案件との公平性に問題が生じると懸念される。
またそもそも価格調整スキームは、救済措置ではなく、将来の予見しがたいインフレ/デフレ双方の物価変動に対して中立的に対応し、官民で適切なリスク分担を行うために導入された措置である。公募開始から現在までのインフレはすでに確定したものであり、これに対して適用を行うことは、制度の前提に反することとなる。
このため洋上風力WGでは、公募開始時点まで遡及した価格調整の適用は行わないこととした。
三菱商事コンソーシアムが第1ラウンド案件から撤退した要因としては、物価や為替、金利の上昇により、風車等の調達費用や工事費用が当初想定から2倍以上に上昇したことが指摘されている。
第2・第3ラウンドでも同様の環境下にあるため、事業完遂のためには、風車メーカー等の変更や施工方法の変更等によるコストダウンが求められる。
ただし、これらの変更には「公募占用計画」の変更が必要であり、このような計画変更は、「公共の利益の一層の増進へ寄与」する場合や「やむを得ない事情」がある場合にのみ認められ、計画変更により迅速性の評価点が下がる場合には、保証金の没収要件に該当することとなる。
今回の洋上風力WGでは、第2・第3ラウンドの事業完遂の重要性を踏まえ、風車メーカー等の変更や長期AXへの参加によるスケジュールの遅れが生じる場合など、審査及び評価の結果が下がる方向での変更であったとしても、事業の継続のためにやむを得ない場合には、公募占用計画の変更を柔軟に認めることと整理された。
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