事業撤退の影響が懸念される洋上風力発電、事業環境の整備方針と新たな公募制度案が公表第39回「洋上風力促進WG」(5/5 ページ)

» 2025年11月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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適切な供給価格での入札を促す価格点の設計

 第2・第3ラウンドでは、「供給価格点=(公募参加者の最低供給価格/提案者の供給価格)×120点」の式により価格点の算定を行った。この算定式では、最低供給価格が低いほど、各社の供給価格点の差が大きくなるため、1事業者でもゼロプレミアム水準(3円/kWh)で入札する場合、他の事業者もゼロプレミアム水準で入札しなければ事実上、落札できない仕組みとなっていた。

 しかしながら第1ラウンドの撤退要因を踏まえるならば、事業の完遂のためには、適切な供給価格で入札されるよう価格点の設計を見直すことが不可欠である。

 そこで、事業完遂のために必要と考えられる水準を前提とした上で、事業者が現実的な創意工夫を講じた場合の価格水準として、新たに「供給価格下限額」を設定することとした。下限額での入札に対しては満点(120点)が与えられる。

 また、国民負担抑制の観点から「供給価格上限額」が重要であることに変わりはないが、価格のみで事業者評価に過度に大きな差が生じる場合、結果として「事業実現性」の評価が軽んじられることとなる。

 この改善策として、供給価格上限額での入札に対しても一定の価格点を与えるとともに、その点数については、事業実現性評価点の高さ次第で、総合評価が逆転し得る水準とすることとした。具体的には、洋上風力黎明期である現時点では、上限額であっても「100点」を与える案が示された。

図4.第4ラウンド以降の価格点の設計 出典:洋上風力WG

選定事業者が撤退した際のルールの明確化

 第1〜3ラウンドの公募占用指針においては、事業から撤退するなど、順守事項に違反した場合、他の促進区域での公募への参加を一定期間認めないとしていたが、今回これを明確化し、参加資格の停止は、撤退後に初めて事業者選定が行われる公募(撤退時点で公募が開始しているものも含む)が対象であるとされた。

 また、参加資格停止の対象となる事業者は、第1〜3ラウンドでは「選定事業者(SPCの場合は、公募占用計画に構成員として記載された者を含む)」であるが、参加資格停止ペナルティの効果は限定的である。このため、今後実施する公募においては、選定事業者の親会社や子会社も含めるなど、規律の強化を検討することとした。

 また選定事業者による事業撤退は、再エネ導入量、地元関係者、洋上風力サプライチェーン全体に悪影響を与え得るものであり、こうした悪影響を軽減するためには、早期に再公募を実施し、他の事業者が迅速に事業を開始することが望ましい。

 このため、今後実施する公募に係る公募占用指針では、選定事業者が撤退する場合は、当該事業者が保有する地盤等のデータを、再公募に参加しようとする事業者に対して無償で提供することに関する規定を設けることとした。

 日本風力発電協会では、現時点の着床式洋上風力発電コストを22.4円/kWhと試算しており、今後の「①設備利用率向上」や「②CAPEX・OPEX低減」により、2045年には13.4円/kWhへと低減することを目指している。官民共同で、この実現に向けた産業基盤の強化が求められる。

図5.着床式洋上風力発電コストの低減のイメージ 出典:日本風力発電協会
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