組合員は生協から電力を購入へ、未来が始まる第一歩電力供給サービス(1/2 ページ)

日本生活協同組合連合会は、新電力会社「地球クラブ」を設立し、2014年10月からの事業開始を予定する。再生可能エネルギーを利用した電力を仕入れ、生協の施設に販売する。2016年の電力自由化に備えた動きともいえる。

» 2014年06月18日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 日本生活協同組合連合会(日本生協連)*1)は、新電力会社(PPS)である地球クラブ*2)を2014年6月20日に設立すると発表した。2014年10月の事業開始を予定する。

 「全国の生活協同組合(生協)の中には、2016年の電力自由化をきっかけとして、組合員への電力小売を考えているところもある。今回、新電力会社を立ち上げる理由の1つは、生協が主体となった場合でも電力の売買の仕組みが働くことを実証し、全国にノウハウを伝えること」(日本生協連)。事業プランとしては黒字を確保できる計算だが、生協には新電力事業を運営した経験がない。そこで全国に先駆けて手掛ける。

*1) 日本生協連は全国343の生協が加入する全国規模の連合会。日本最大の消費者組織でもある。
*2) 地球クラブの出資比率は日本生協連(20%)、日本生協連の物流子会社であるシーエックスカーゴ(80%)。

再生可能エネルギーを中心に使う

 地球クラブは他社から電力を仕入れて、生協の施設に供給する(図1)。「消費生活協同組合法(生協法)の規定があるため、組合員以外に広く一般に電力を供給することはできない。まずは渋谷区にある本部事務所の他、千葉県野田市と埼玉県桶川市にあるシーエックスカーゴの物流事業所、埼玉県蕨市にある商品検査センターに電力を供給する」(日本生協連)。いずれも首都圏に立地する施設だ。

 供給規模は5.7MW。仕組み作りを優先したため、当初の供給範囲は首都圏に限り、規模も低く抑えた。

図1 地球クラブの事業モデル 出典:日本生協連

 日本生協連の電力に対する立場は2つある。原子力発電に頼らないエネルギー政策の実現と、持続可能な社会を目指すことである。このために、再生可能エネルギーの普及が必要だと考えている。図1に示したように地球クラブが購入する電力の大半を再生可能エネルギーでまかなうのはそのためだ。

 日本生協連は2012年度から全国7カ所の物流施設に太陽光発電システムを導入してきた(図2)。新電力会社を立ち上げる2つ目の理由は、このような発電だけではなく、消費に至るまで携わることが、再生可能エネルギーの普及に役立つと考えるからだ。

図2 導入済みの太陽光発電システムと発電実績 出典:日本生協連

 太陽光発電システムの導入は、今後も拡大していく。2014年7月には鳥栖冷凍流通センター(287kW)、同11月には尾道ドライ流通センター(389kW)で、それぞれ規模を拡大する予定だ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.