電力会社10社の第1四半期、4社は営業黒字に転じる電力供給サービス

2014年度の第1四半期は電力会社10社すべてが前年を上回る売上高を記録して、営業利益は合計で3000億円も増加した。6社は黒字になり、そのうち4社は前年同期の赤字から回復した。いまだ赤字が続いているのは北海道・関西・九州・沖縄の4社で、関西と沖縄は前年よりも損失額が拡大した。

» 2014年08月04日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電力会社の多くが電気料金の値上げによって業績を回復させている。2014年度の第1四半期(4〜6月)は各社とも売上高が前年同期を上回り、平均で11.7%の大幅な伸びになった(図1)。営業利益は10社の合計で3018億円も増えて、6社が黒字を達成した。ただし販売電力量は中国電力を除く9社で前年を下回り、需要の減少が続いている。

図1  2014年度第1四半期の売上高(連結決算)、営業利益(同)、販売電力量

 営業利益を最も大きく増やしたのは東京電力である。前年の234億円の損失から一気に706億円の黒字に転換を果たした。売上高は1000億円以上も増加したが、増加額のほとんどは燃料費の変動によって上乗せする「燃料費調整単価」によるものだ(図2)。東京電力は2012年9月に電気料金の値上げを実施したために、直近の1年間では値上げの効果はない。

図2 東京電力の収益と費用の増減(単独決算。画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力

 この第1四半期には燃料費が114億円も減少したことで利益を生み出した。売上高が燃料費調整単価の上昇によって増えたにもかかわらず、燃料費そのものは減っている。燃料費調整単価は実際の燃料価格から3〜5カ月の遅れで決まるため、その間に新しい発電設備が運転を開始したことなどから燃料費が低下した可能性がある。燃料の種別では価格の安い石炭を増やして、価格の高い石油を減らした効果である。

 対照的に最も大きな営業損失を出したのが関西電力だ。前年から120億円の悪化で、四半期で398億円の赤字を記録した。東京電力とは逆に燃料費が386億円も増加したことが大きい(図3)。前年には原子力の大飯発電所の3・4号機が稼働していて、その分の電力を今年は火力発電などで代替した影響である。

図3 関西電力の収益と費用の増減(単独決算)。出典:関西電力

 関西電力には石炭火力発電所が1カ所しかなく、石油火力に依存する割合が大きいために、燃料費が増えやすい構造になっている。原子力発電所の再稼働に必死に取り組む理由がよくわかる。同様に北海道電力と九州電力も石油と原子力の依存度が高く、収益の改善に苦しんでいる。

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