太陽光発電の稼働状況を遠隔から監視するサービスが増えてきた。インターネットを使ってエネルギー管理事業を展開するGMOクラウドは電流センサーとパワーコンディショナーを組み合わせた遠隔監視サービスを開始した。通信機能を生かして太陽光発電の出力を制御することもできる。
GMOクラウドは太陽光発電設備の見える化サービス「エナジーモニター」の機能を拡充して、出力が2000kW(キロワット)未満のメガソーラーに対応できるようにした。太陽光パネルをストリング単位で監視できる機能に加えて、日射量をもとに発電効率をグラフで表示したり、パワーコンディショナー(パワコン)を通じて出力を制御したりすることが可能になる。
エナジーモニターはストリングごとに設置する電流センサーで発電量を計測して、電力線を使ったPLC(Power Line Communication)方式でデータを送信する。計測したデータは電力を直流から交流へ変換するパワコンを経由して、通信装置のルーターからGMOクラウドのセンターへ送って蓄積・分析する仕組みだ(図1)。
ルーターにはパワコンを制御する機能も組み込まれていて、遠隔から発電設備の出力を調整することができる。全国各地で太陽光発電が急増した結果、各地域の電力の需給状況によって発電設備の出力制御を求めるルールが拡大した。地域によっては出力制御の機能を備えていないと電力会社の送配電ネットワークに接続できなくなる。
エナジーモニターで蓄積・分析できるデータには、日時ごとの発電量や日射量、ストリング単位の出力の情報が含まれている。日射量から想定した発電量と実際の発電量をグラフで比較する機能などを提供する(図2)。
ユニークな機能として、1日の株価の変動を表すのに使うキャンドルグラフで発電効率を表示することができる(図3)。キャンドルグラフは1日のうち開始時と終了時の数値を円筒形で示して、最高値と最低値を直線で加えたものである。一定期間の傾向や異常値を把握するのに役立つ。
エナジーモニターの画面はパソコンのほかにタブレットやスマートフォンに表示することが可能だ。それぞれの画面サイズに合わせてグラフの形やレイアウトを自動的に変更する「レスポンシブデザイン」を採用した(図4)。発電設備にカメラを設置すれば映像で状況を確認することもできる。
出力が2000kWクラスのメガソーラーにエナジーモニターを導入する場合には、カメラや計測・監視機器などで500〜600万円ほどの費用がかかる。このほかに毎月のサービス利用料が必要で、発電設備の構成や利用機器の種類によって料金が決まる。
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