非FIT証書を取引する「高度化法義務達成市場」とFIT証書を対象とする「再エネ価値取引市場」で流通している非化石証書。資源エネルギー庁は昨今の非化石証書の需給動向を踏まえ、2027年度から上下限価格を見直す方針だ。
非化石電源の価値を証書化し、取引可能とする非化石価値取引市場が2018年5月に開始された。これにより、小売電気事業者はエネルギー供給構造高度化法の非化石電源比率目標の達成や、需要家による非化石電源の選択が後押しされた。
市場開始当初、再エネ賦課金の低減や非化石電源の維持拡大原資に充てるという目的を踏まえて、FIT証書には下限価格を設定するとともに、高度化法順守費用抑制のためFIT証書と非FIT証書には上限価格が設定された。
非化石価値取引市場は2021年11月に、高度化法義務達成のための非FIT証書を取引する「高度化法義務達成市場」と、FIT証書を取引し需要家も参加可能な「再エネ価値取引市場」に分離された。これと同時に、安価な環境価値を要望する需要家に応える形でFIT証書の下限価格が大幅に引き下げられ、非FIT証書についても下限価格を導入するとともに上限価格が引き下げられた。2023年度の高度化法第2フェーズの開始に際して、PPA等による再エネ電源投資を阻害しないため、FIT証書の下限価格がわずかに引き上げられている。
非化石電源に対する投資は一層重要性を増していることから、資源エネルギー庁の「制度検討作業部会」では、非化石証書の上下限価格の見直しを行うこととした。
なお、上下限価格が適用されるのは市場取引のみであり、相対取引での適用は必須ではないため、やや回りくどい記述となることをご容赦願いたい。
2026年2月に、高度化法義務達成市場(非FIT再エネ指定あり/なし)の2025年度第3回オークションが開催された。非FIT証書の取引の大半は相対取引により行われているため、証書発行量と比べると取引所での売入札量は少なく、需給バランスの見通し次第で約定価格は上限価格や下限価格に張り付きやすい状況が続いている。
同じく2月に、再エネ価値取引市場(FIT証書)の2025年度第3回オークションが開催された。FIT証書は現時点、売入札量が潤沢にあるため買入札量がそのまま約定量となり、約定加重平均価格はほぼ毎回、下限価格0.4円/kWhに張り付く状況が続いている。
ただし、近年はFIT証書の買入札量が急増しているのに対して、売入札量の増加は鈍化している(※図4の2024年度には約56億kWhの代替調達量が含まれる)。今後は優先給電ルールにおける出力制御順の見直し等により、FITからFIPへの移行が進むと想定されるほか、2032年度以降は卒FITを迎える電源が増加するため、近い将来に売買入札量が拮抗することも起こり得る。
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