国を挙げて省エネに取り組む必要がある中で、製造業の対策が不十分なことが明らかになった。エネルギーの消費効率は震災前よりも悪化していて、2013年度の生産量に対するエネルギー消費量は2009年度よりも7.6%増加している。新たにFEMSやIoTを活用したエネルギー管理が求められる。
全世界の温暖化対策に向けて、日本が掲げた目標は2030年のCO2排出量を2013年比で26%削減することである。そのためには企業を中心に抜本的な省エネ対策を実施する必要がある。政府が「徹底した省エネルギーの推進」をテーマに現状分析と重点施策をまとめた報告書によると、製造業における省エネが最大の課題になっている。
日本の最終エネルギー消費量を利用部門別に見ると、製造業を中心とする「産業部門」が全体の43%を占めている(図1)。2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災によって一時的に減少したものの、実質的なエネルギー消費効率はむしろ悪化しているのが現状だ。
省エネ法では年間に一定量以上のエネルギーを使用する事業者に対して、エネルギー管理の実施とエネルギー使用状況の報告を義務づけている。規制の対象になる事業者のエネルギー使用量を合計すると、2013(平成25)年度には震災前の2009(平成21)年度と比べて7.2%も増えてしまった(図2)。
規制の対象には産業部門のほかに、オフィスを中心とする「業務部門」も含まれる。このうち省エネ効果が上がっていないのは産業部門で、一方の業務部門では着実に省エネ効果が高まっている。省エネ効果を示す指標に「エネルギー消費原単位」がある。産業部門では生産数量、業務部門では延べ床面積を基準にして、エネルギーの使用効率を表したものである。
産業部門のエネルギー消費原単位が2009年度から2013年度の5年間に7.6%上昇したのに対して、業務部門では8.2%低下した。工場では生産設備に省エネ対策を定着させるまでに時間を必要とする。とはいえ、業種による差が大きいのも事実だ。
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