固定価格買取制度が2012年7月に始まって以降、京都府の再生可能エネルギーの導入量は伸び悩んできた。太陽光発電の導入量が増え始めたとはいえ、全国で34位にとどまる(図4)。そのほかの再生可能エネルギーは開発案件が徐々に増えてきた状態だが、買取制度の直前に木質バイオマスの分野で先進的なプロジェクトが動き出している。
木質バイオマスは森林の間伐材を使うケースが全国で多く見られるが、京都府の日本海側では竹を燃料に利用したバイオマス発電が2011年から始まっている。宮津市が国の支援を受けて建設した「宮津バイオマス・エネルギー製造事業所」で、日本で初めての竹バイオマス発電所だ。
竹林から伐採した竹を建材や工芸品に加工した後に、残った竹のクズを高温でガスに転換して発電用の燃料に利用する(図5)。1時間あたり1トンの竹を使って30kW(キロワット)の電力を供給することができる。発電した電力は事業所内の設備で消費する一方、発電時の廃熱を利用して竹を乾燥させるエネルギー循環型のシステムになっている。
京都府は全国でも竹の生息範囲が広く、特に宮津市を含む北部は竹バイオマスが豊富に分布している(図6)。宮津市内だけでも600万平方メートルを超える竹林が広がり、さらに拡大する勢いだ。森林と同様に竹林の間伐が必要で、間伐した竹を有効に利用できるバイオマス発電が解決策の1つになる。
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