ようやく太陽光発電が増えてきた、竹を燃料にバイオマス発電も進むエネルギー列島2015年版(26)京都(1/3 ページ)

かつては再生可能エネルギーに先進的に取り組んだ京都府だが、最近の導入量は伸び悩んでいる。「エネルギー自給・京都」を長期の目標に掲げて、太陽光発電を中心に拡大策に乗り出した。ゴルフ場や工場の跡地でメガソーラーの建設が進み、バイオマス発電も再び広がりを見せる。

» 2015年10月13日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 京都府は再生可能エネルギーを拡大して「エネルギー自給・京都」を目指す。1997年に京都市で地球温暖化防止をテーマにした国際会議を開き、「京都議定書」を採択したことは広く知られている。当時は府内の各地域で再生可能エネルギーの導入プロジェクトが活発に進んだ。その後に停滞してしまった動きがようやく戻り始めている。

 特に目を引くのは規模の大きなメガソーラーの建設が広がってきたことだ。地元の京セラが京都市内に建設中の「京都・伏見メガソーラー発電所」は代表的な事例である。市の中心部から10キロメートルほどの距離にあるゴルフ場の跡地を利用して、9万枚にのぼる太陽光パネルを設置する計画だ(図1)。

図1 「京都・伏見メガソーラー発電所」を建設するゴルフ場の跡地。出典:京セラ

 発電能力は23MW(メガワット)に達して、年間の発電量は2600万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると7300世帯分に相当する。すでに工事は始まっていて、2年後の2017年9月に運転を開始する予定だ。完成すれば京都府で最大のメガソーラーになる。

 府内にはゴルフ場が数多くあり、営業を停止したまま広大な跡地が残っているケースは少なくない。北部の亀岡市でも、大阪いずみ市民生活協同組合がゴルフ場の跡地にメガソーラーの建設計画を進めている。全国の生協が原子力発電の依存度を低減させる取り組みの1つである。

 発電能力は8.9MWで、運転開始は2016年9月を予定している。年間の発電量は950万kWhを想定していて、一般家庭の2600世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて新電力に売電したうえで、その新電力から生協の事業所や組合員の家庭に供給する方針だ。

 こうしたゴルフ場の跡地に限らずメガソーラーが続々と誕生している。すでに運転を開始した中で規模が大きいのは、南部の宇治田原町(うじたわらちょう)の「京都宇治田原ソーラーパーク」である。奈良県のリサイクル事業会社が採石場に利用していた跡地に建設した(図2)。2014年11月に全面稼働して、発電能力は5.3MWになった。

図2 「京都宇治田原ソーラーパーク」の全景。出典:山本商事グループ

 住宅設備機器大手のLIXIL(リクシル)は事業の再編に伴って閉鎖した自社工場の跡地にメガソーラーを建設した。北部の綾部市に残った跡地の3分の1を利用して、発電能力が4.9MWのメガソーラーを9月に稼働させたところだ(図3)。2万枚に及ぶ太陽光パネルの架台には軽量のアルミ材を使った自社製品を採用して、全体の工事を10カ月で完了させた。

図3 「LIXIL綾部SOLAR POWER」の太陽光パネル設置状況。出典:LIXIL
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