温泉とスキーの高原に地熱発電所、2020年にも15MW級で運転開始へ自然エネルギー(1/2 ページ)

地熱資源が豊富な岩手県の八幡平市で発電所の開発プロジェクトが動き出した。温泉とスキー場で有名な安比地域に、発電能力が15MW級の設備を建設する計画だ。すでに環境影響評価の手続きに着手した。順調に進めば2018年に建設工事に入って、2020〜21年に運転を開始できる。

» 2015年11月02日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
図1 地熱発電所の開発計画が進む安比地域の位置。出典:三菱マテリアル、三菱ガス化学

 安比(あっぴ)地域で地熱発電の事業化を進める「安比地熱」が、発電所の建設に向けて環境影響評価の手続きを開始した(図1)。安比地熱は三菱マテリアルと三菱ガス化学の2社が共同で設立した新会社である。環境影響評価の第1ステップにあたる「配慮書」を10月28日に経済産業大臣・岩手県知事・八幡平(はちまんたい)市長の3者に提出した。

 三菱マテリアルと三菱化学は2004年度から安比地域で地熱発電の事業化を検討してきた。地下の地質モデルを解析して資源量を評価する一方、調査井(ちょうさせい)を使った噴気試験を長期にわたって実施した(図2)。その結果、発電能力が15MW(メガワット)級の地熱発電所を安定稼働できるだけの資源量の存在を確認することができた。

図2 安比地域で実施中の噴気試験。出典:三菱マテリアル、三菱ガス化学

 発電能力が10MW以上の地熱発電所を建設するためには、4段階に及ぶ環境影響評価の手続きを完了させる必要がある。これから手続きが順調に進んでいくと、最終段階の「評価書」を2年後の2017年11月に関係省庁・自治体に届け出る予定だ。手続きが完了して2018年から建設工事に入れば、2020〜21年に運転を開始することができる。

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