マグネシウム電池を家庭向け販売、サイズを半分に蓄電・発電技術(1/2 ページ)

非常時にスマートフォン用の電源がない。このような事態に備える電池「MgBOX slim」が登場した。封を切り、水を注ぐだけでUSB端子から充電できる。あらかじめ充電する必要はなく、長期保存が可能だ。

» 2015年12月11日 09時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 古河電池と凸版印刷は、2015年12月10日、マグネシウムを用いた電池「MgBOX slim(マグボックススリム)」を一般家庭向けに販売すると発表した。同日から予約販売を開始し、2016年2月下旬に出荷を開始する予定だ。「価格は2016年2月の出荷開始までに正式決定する」(凸版印刷)。

 両社はMgBOX Slimを環境関連の展示会「エコプロダクツ2015」(東京ビッグサイト、2015年12月10〜12日)に出展した(図1)。

図1 MgBOX slimの外観。写真は「エコプロダクツ2015」の古河電池ブースで撮影したもの(クリックで拡大)

 MgBOX slimの特徴は、あらかじめ充電しておかなくても、いざというときに電力を取り出せること。図1のように紙箱の上蓋を持ち上げ、注ぎ口に水道水や海水などを約1.5リットル注入すると、スマートフォンを最大20回充電できる。USB端子を1つ備えたUSBボックスを紙箱から引き出して使うため、接続も容易だ。出力電圧は5ボルト、電流は1アンペア。一気に使い切る必要はなく、最大5日間電力を取り出し可能だ。

体積を1/2に小型化

 両社は2014年8月、地方自治体向けの非常用電池として第1世代に相当する「MgBOX」を発表している。今回、地方自治体や企業・団体に加え、一般家庭向けに販売するため、小型・軽量化を施した。

 MgBOXは重量約1.6キログラム(kg)で、寸法は幅233ミリメートル(mm)、高さ226mm、奥行き226mm(図2)。利用時には水を約2kg利用する。容量は300ワット時(Wh)だ。

図2 MgBOXの外観 出典:古河電池、凸版印刷

 新製品では体積を約2.3分の1、重量を1.6分の1に抑えた(幅210mm、高さ220mm、奥行き110mm、約1.0kg)。利用する水の量は約1.5kg。体積を半減しながら、電池容量は200Whを確保している。

 体積を半減した手法は2つあるという。「まず、従来4つあった電池セルを3つに減らした。MgBOX slimは金属空気電池なので、発電を起こす反応には空気(酸素)が必要だ。この空気の通り道を従来のMgBOXよりも狭くしながら、性能を維持できる設計とした。これが第2の工夫だ」(凸版印刷)。

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