地域の森林で発生する未利用の木材を生かしたバイオマス発電所の建設計画が山形県で相次いで動き出した。南部の米沢市では年間8万トンの木材を燃料に利用する発電所が2017年末に運転を開始する予定だ。地元の木材産業が燃料の供給に協力して、県内の4地域に木質バイオマス発電が広がる。
山形県は森林の面積が7割を超える。県内の4つの地域にはスギやナラの人工林が広がっていて、間伐などで発生する用途のない木材の処理が大きな課題になっている。2015年に入ってから各地域で木質バイオマス発電所の建設計画が続々と始まり、南部の置賜(おきたま)地域でも米沢市に発電所を新設するプロジェクトが進んでいる(図1)。
プロジェクトを推進する事業者は福島県と大分県で木質バイオマス発電所を稼働させたグリーン・サーマルである。40億円の事業費で発電能力が6.25MW(メガワット)の木質バイオマス発電所を建設する。大和証券グループの大和PIパートナーズから出資を受けて、米沢市内に「DSグリーン発電米沢」を設立して発電事業に取り組む。
発電用の燃料は地域の未利用木材を中心に年間8万トンを利用する計画だ。2017年末に運転を開始する予定で、年間の発電量は4300万kWh(キロワット時)程度を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して1万2000世帯分に相当する。米沢市の総世帯数(3万3000世帯)の3分の1以上をカバーすることができる。
グリーン・サーマルは2009年から木質バイオマス事業を開始して、山林で発生する大量の未利用木材を燃料に活用する事業モデルを展開している。木材は品質によってA材からD材まで4種類に区分されて、そのうち建材や製紙に利用するのは全体の半分程度を占めるA材とB材だけである(図2)。
残るC材とD材は根元の部分や曲がった部分などで、山林に放置されるケースが少なくない。これをチップに加工して発電用の燃料に利用できれば、地域の林業の収入と雇用が増えて、山林に残る未利用木材を整理することができる。米沢市に建設する木質バイオマス発電所では、未利用木材の調達に関して山形県木材産業協同組合と協定を結んだ。
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