南相馬市は東日本大震災で津波と原子力発電所の事故による甚大な被害を受けた。現在も市の東半分の地域では放射能の除染作業が続いている(図4)。メガソーラーを建設する市有地がある場所も除染作業中の「右田」「海老」「真野(鹿島)」の3地区にある。
復興計画で重要な役割を果たすのが再生可能エネルギーで、2012年度から「南相馬市再生可能エネルギー推進ビジョン」に取り組んできた。2030年代には市内のエネルギー消費量の100%を再生可能エネルギーで供給できるように、2012年度に5%だった自給率を2020年度に65%まで引き上げる目標を掲げている(図5)。
再生可能エネルギーの中でも太陽光発電と風力発電の導入ポテンシャルが大きいことから、南相馬市では太陽光発電設備を公共施設に率先して導入するほか、民間企業の誘致を促進してきた(図6)。再利用がむずかしい被災地をメガソーラー向けに提供する施策もビジョンに沿ったものである。
南相馬市は2015年3月に全国の自治体で初めて「脱原発都市宣言」を出して、原子力に依存しない街づくりを進めている。省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの積極的利用、さらに災害に強いスマートコミュニティを市内に展開する方針だ(図7)。太陽光発電の電力を使って植物工場を増やす構想もあり、農作物の新しい生産方法の開発にも取り組んでいく。
「脱原発都市」にメガソーラー、35億円で2700世帯分の電力を
再生可能エネルギー導入量を5万kW拡大、南相馬市で大型蓄電システムが稼働
狭い水路でも低コストな発電を可能に、南相馬市で小水力実証を開始Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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