超大型風車が5MWの電力を作る、回転直径136メートルで暴風にも耐える蓄電・発電機器(1/2 ページ)

日立製作所が出力5MW超の大型風力発電システムを開発した。茨城県の風力発電所で試験運転を実施して2017年度に販売を開始する予定だ。従来の5MW機の風車よりも回転直径を10メートル伸ばして風を受ける面積を15%拡大した。平均風速が7.5メートル/秒未満の場所でも発電量を増やせる。

» 2016年09月13日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 日本の近海でも今後の拡大が期待できる洋上風力発電に向けて、日立製作所が超大型の風車を搭載した発電システムの製品ラインを強化する。これまで発電能力が5MW(メガワット)だった従来機のローター(羽根を含む回転部分)の回転直径を126メートルから136メートルに伸ばして、発電能力を5.2MWに引き上げた(図1)。

図1 「鹿島港深芝風力発電所」で稼働中の従来機。出典:日立製作所

 新開発のシステムはローターを大きくしたことで、風を受ける面積が15%拡大して、風速が遅い状態でも回転数を維持しやすくなった。洋上風力発電は年間の平均風速が7.5メートル/秒を超える場所で実施することが望ましいが、本州の近海に多い7.5メートル/秒未満の海域でも発電量を増やせる利点がある。

 従来の5MW機は日立グループが茨城県の沿岸部で運営する「鹿島港深芝風力発電所」のほかに、福島県の沖合で実施中の浮体式による洋上風力発電プロジェクトの5MW機「ふくしま浜風」にも採用されている。ふくしま浜風は7月から係留作業に入っていて、12月までに運転を開始する予定だ(図2)。

図2 係留作業中の「ふくしま浜風」。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 日立製作所はローターの回転直径を136メートルに拡大した新機種と合わせて、従来機をベースに発電能力を5.2MWに引き上げた機種も製品化する(図3)。この製品は年間平均風速が10メートル/秒を前提に設計したもので、風速が速い北海道・東北北部や九州南部の洋上を対象に導入量を増やしていく方針だ。

図3 新たに開発した風力発電システムの仕様。IEC:国際電気標準会議。出典:日立製作所

 現在は5MWの従来機が稼働中の鹿島港深芝風力発電所の構内に、ローター直径が136メートルの新型機を設置して、10月から試験運転を実施する。性能や安全性を確認したうえで、2017年度から全国各地の洋上風力発電プロジェクトに新型機を提案していく。

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