原油調達先の多角化も検討、中東情勢を踏まえ石油備蓄の在り方を見直しへ第1回「石油等の供給構造の強靱化WG」(1/4 ページ)

資源エネルギー庁が新たに「石油等の供給構造の強靭化ワーキング・グループ」を設置。昨今の中東情勢の影響を踏まえ、将来の原油調達先の多角化や石油備蓄の在り方の見直しに向けた検討を開始した。

» 2026年07月30日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2026年2月の米国・イスラエルによるイランへの攻撃や、イランから近隣国のエネルギーインフラへの攻撃により、湾岸諸国の石油等供給力の減少や、船舶がホルムズ海峡を通航することが困難な状況が現在も続いている。

 これにより日本の原油調達量は一旦大きく減少したが、国家備蓄等の放出や代替調達に取り組んだことにより、7月・8月の調達率は前年平月比で約10割まで回復する見込みとなっている。

図1.原油調達の動向 出典:中東情勢重要物資安定的供給確保TF

 ただし、ホルムズ海峡封鎖後の原油調達先の切り替えは、不確実性や追加コストを伴うものであり、特定の輸送経路への依存度が高いことによるリスクが顕在化したと言える。平時から原油等の調達先の多角化を進め、特定経路への依存度を低減する必要性が指摘されている。今後、原油等の調達先多角化を進めていくには、設備面でも多様な油種・原料に対応することが求められる。

 また、石油備蓄法の対象とされていないナフサの供給不安から、シンナー・塗料等の幅広いナフサ関連製品では供給の偏りや買い溜め等の流通の目詰まりが生じたため、石油備蓄の在り方についても見直しが問われている。

 このため資源エネルギー庁では、新たに「石油等の供給構造の強靭化ワーキング・グループ(WG)」を設置し、今般の中東情勢により顕在化した課題への対応策について検討を開始した。

石油備蓄の活用状況

 オイルショックを契機として、日本は1975年に石油備蓄法を制定し、国家備蓄や民間備蓄等の拡充を図ってきた。ホルムズ海峡封鎖前の2026年2月末時点、日本は備蓄法基準で、国家備蓄145日分、民間備蓄91日分、産油国共同備蓄6日分、合計約243日分を確保していた。

図2.日本の石油備蓄日数の変遷 出典:石油等供給構造強靱化WG

 政府はまず国家備蓄から約1カ月分の原油放出を決定したが、これが実際に放出され製油所に輸送されるまでの期間においては、機動的かつ柔軟な民間備蓄を活用するため、民間備蓄義務量を70日分から55日分へと引き下げた。その後、国家備蓄・産油国備蓄の原油が全国の製油所に届き始める4月中旬以降は、主に国家備蓄・産油国備蓄を活用することで、民間備蓄水準は回復に向かった。

 なお現在IEA加盟国は、IEA基準(※)で90日分の備蓄を保有することが義務づけられており、日本ではこれを国家備蓄枠で保有している。今回の国家備蓄放出により、備蓄量は80日分程度(IEA基準)まで減少したため、早期の回復が必要とされている(※備蓄日数の計算は、IEA基準ではタンクのデッドストックを控除するのに対して、備蓄法基準ではデッドストック分を含めるという違いがある)。

図3.国家備蓄・民間備蓄・産油国備蓄の備蓄日数の推移 出典:石油等供給構造強靱化WG
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