系統混雑・再エネ出力制御量の見通し、2031年度の予測値が公表第103回「広域系統整備委員会」(1/4 ページ)

電力広域的運営推進機関の「広域系統整備委員会」の第103回会合では、2031年度の系統混雑や再エネ電源の出力制御量の見通しが公表された。

» 2026年09月09日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 再エネ電源などの早期系統接続を実現する施策の一つとして、一般送配電事業者はノンファーム型接続の適用を順次拡大してきた。ノンファーム型接続とは、エリア内における系統混雑の発生を許容する考えに基づき、平常時の系統制約による出力制御を前提とした接続方法である。そのため、ノンファーム型接続適用電源が増加するに従い、地内系統混雑も増加することとなる。

 系統混雑解消のために出力制御を行った電源は、当初見込んでいた供給力・調整力を発揮することができないため、系統全体の供給信頼度にも一定の影響を与え得るものである。現時点、ノンファーム電源は容量市場や需給調整市場への参加が認められているものの、今後の系統混雑増加を踏まえた検討が求められている。

 このため電力広域的運営推進機関の広域系統整備委員会では、これまでも系統混雑に関する中長期見通しを示してきたが、その第103回会合では、2031年度の系統混雑に関する見通しが示された。系統混雑の中長期見通しは、再エネ発電事業者などの収益性評価に資する情報であり、発電所などの立地を非混雑系統へ誘導することにより、経済合理的な系統設備形成が進むと期待される。

中長期の系統混雑見通しの算出方法

 将来の系統混雑を想定するには、どこにどういった需要や電源があり、どのように稼働するかをシミュレーションすることが必要となる。

 今回の系統混雑に関する中長期見通しにおける前提条件は、2031年度末の電源・需要および系統構成を基本としており、2031年度までに運用開始が予定されているデータセンターなどの需要拡大や、地域間連系線の増強計画などが考慮されている。なお、供給計画とは考え方が異なるため、想定設備容量なども異なることに留意願いたい。(表1の右列は2026年度供給計画の2030年度断面)

表1.シミュレーション上の想定設備容量 出典:広域系統整備委員会を基に筆者作成

 基幹系統については、全国大のメリットオーダーシミュレーションを元にした年間8,760時間の系統混雑などの算出を行い、メリットオーダーの対象となる火力電源の連系が少ないローカル系統では、需要・発電出力の積み上げにより、年間8,760時間の算出を行った。

 全国大のメリットオーダーシミュレーションを行うに際しては、発電単価の設定が重要な要素となる。2025年2月の発電コスト検証ワーキンググループ(WG)では、CO2対策コストの増加により、石炭火力の発電単価がLNG火力の発電単価より高価となることが報告されている。このため、広域系統整備委員会では将来の幅を持った見通しを示すため、足元のメリットオーダーに基づく「現行シナリオ」と、2025年2月発電コスト検証WGに基づく「移行シナリオ」の2つのシナリオについて、シミュレーションを行った。

図1.火力発電所の発電単価(燃料費+CO2対策コスト) 出典:広域系統整備委員会

 将来の系統混雑をシミュレーションするには、大規模な需要がどの系統に接続しているかを想定することが重要な要素となる。昨年度までは、エリア全体の需要カーブを各地点の需要比率に応じて一律配賦することにより、各系統の需要想定を作成してきたが、この方式では、データセンターや半導体工場などの大規模需要の局地的な偏在を適切に考慮することが出来ない。

 よって2031年度想定(図2右)では、大規模需要をその立地地域のベース需要とみなし、それ以外の一般需要にのみエリア需要カーブを配賦することで8,760時間の需要想定を作成した。この方式により、データセンターなどが接続する地点/系統では、従来方式よりも需要量kWhの想定値が増加し、系統混雑が発生しにくくなる。

図2.大規模需要立地地点における需要想定 出典:広域系統整備委員会

 なお、設備容量が急増している蓄電池はすべて、市場価格が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する「アービトラージ(裁定取引)」運用を想定しているため、現実の蓄電池の運用次第でシミュレーション結果とは大きく異なり得ることに留意が必要である。

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