以上の前提条件のもと、2031年度における系統混雑シミュレーション結果を示したものが図3である。表の1つのセル(1マス)の中に上下2段で数値が記されているが、上段は「移行シナリオ」、下段は「現行シナリオ」、括弧内の±は昨年度からの増減(増加は赤色文字)を表している。基幹系統は原則、最上位電圧から2階級、ローカル系統はそれ未満の電圧階級の送電系統を意味する。
再エネ電源や蓄電池の導入拡大により、基幹系統では北海道エリアで系統混雑が多く、総設備数のうち16%程度が混雑する見通しとなっており、ローカル系統では東地域および中部エリアで系統混雑が多く発生する見通しとなるなど、地域差が大きいことが明らかとなった。
シミュレーションに用いられた火力発電所の燃種別設備容量(2031年度末)は図4の通りである。「現行シナリオ」と「移行シナリオ」では、石炭火力とLNG火力のメリットオーダーが逆転するため、これらの火力電源が基幹系統に多数接続する東京や関西エリアでは、「現行シナリオ」と「移行シナリオ」の混雑数にも逆転が生じやすくなっている。
2031年度における年間延べ「混雑時間」および再給電(電源の持ち替え)による「出力制御電力量」の見通しは表2の通りである。同じく、上段は「移行シナリオ」、下段は「現行シナリオ」、括弧内の±は昨年度からの増減(増加は赤色文字)を表している。
なお、再給電はメリットオーダーで実施するため、ここでの出力制御対象は、実質的に火力などの調整電源である。
先述の通り、今回のシミュレーションでは、データセンターなどの大規模電源の扱いを変えたことにより、データセンターが多数立地する東京エリアでは、混雑時間及び出力制御電力量が昨年度シミュレーションと比べ、大きく減少した。また東北エリアでは、洋上風力(※系統混雑時の出力制御を条件とした基幹系統増強工事完工前の早期連系)の増加により、混雑時間・出力制御電力量の増加が見込まれている。
全国の年間出力制御電力量は1,235〜2,256GWh(12〜23億kWh)であり(表2の緑枠)、2031年度の全国需要電力量(送電端)比で0.14〜0.26%程度である。
また、基幹系統における再給電による上げ指令/下げ指令の値差を2円/kWhと仮定する場合、再給電費用は全国で5〜10億円/年程度と試算された。なお、再給電方式はあくまで暫定的な措置であり、できるだけ速やかにノーダル制などへの移行に向けた検討を進めるべきとしている。
2031年度における年間の最大出力制御電力の見通しは表3の通りであり、再エネ電源の接続増加により、北海道や東北エリアでは、エリアH3需要比で15%を超える見込みとなっている。ただし、系統制約による電源の出力制御は通常、需要が低い季節/時間帯で発生するものであり、ピーク需要断面や点灯帯(16:00〜20:00)における出力制御は、最大需要電力比で0.00%〜1.52%程度と試算されている。
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