2027年度秋頃の開設が予定されている「排出枠取引市場」。経済産業省の「排出量取引制度小委員会」の第8回会合では、同市場における参加者の選定基準や、取引方法などの詳細設計について検討が行われた。
2026年4月、CO2の直接排出量が10万t以上の事業者を対象とする排出量取引制度(GX-ETS第2フェーズ)が開始された。本制度の対象事業者数は300〜400社程度、カバー率は日本全体の温室効果ガス排出量の60%近くとなる。
直近3年度のCO2平均排出量が10万t以上となる事業者は、2026年9月末までに、3年度平均排出量及び制度対象である旨の届出を行い、「移行計画」を提出する必要がある。また、自社で算定した2026年度の排出量は、登録確認機関による確認を受けた後、2027年9月までに国に報告する必要がある。現時点すでに、14者の確認機関が登録されている。
制度対象者は同時に排出目標量などの届出を行い、国は11月末までに排出枠を無償で割り当てることとなる(初年度の例外措置として、いずれも2026年度・2027年度の2年分)。これにより、事業者は排出枠実物の取り引きを行うことが可能となる。
このスケジュールを踏まえ、排出枠の円滑な取り引きを実現するため、国は「排出枠取引市場」を2027年度秋頃に開設予定としている。排出枠取引市場はGX推進法において、GX推進機構が設置・運営することが定められている。
経済産業省の「排出量取引制度小委員会」第8回会合では、排出枠取引市場の詳細設計の検討が開始された。なお、排出枠の取り引きは、同市場のほかに相対取引が可能であり、小委員会ではあくまで市場(取引所)におけるルールを検討していることに留意願いたい。
排出枠取引市場において、制度対象事業者以外にどのような主体を市場参加者として認めるかが一つの論点となる。先行する他国の市場では、制度対象者以外に、市場の流動性向上を目的として、金融機関や仲介事業者などの参加を認める事例が複数報告されている。
排出枠取引市場は、制度対象者の義務履行の円滑化を第一の目的としており、金融投資を目的とする市場ではない。ただし、諸外国の経験を踏まえると、制度開始当初は市場の流動性が不足することが見込まれるため、取り引きの円滑化に寄与することが期待される事業者の参加を認めることが適切と考えられる。市場の流動性向上は、制度対象者のメリットにもなるものである。
よって、排出枠取引市場では実需に基づいた取り引きを基本としつつ、市場開設当初は必要最小限の範囲に限定した上で「取り引きの円滑化に寄与することが期待される事業者」の参加を認めることとした。
ここで市場参加者の類型としては、「制度対象者」と「取り引きの円滑化に寄与することが期待される事業者」に大別されるが、より具体的な要件を整理する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10
展示会/注目テーマ