原油調達先の多角化も検討、中東情勢を踏まえ石油備蓄の在り方を見直しへ第1回「石油等の供給構造の強靱化WG」(2/4 ページ)

» 2026年07月30日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

製油所の原油処理量と燃料油の国内向け販売量

 国内製油所の原油処理量は、2026年4月には前年同月比で13.7%低下した。

 この理由としては、

  • 国家備蓄として放出された原油の中には、製油所が平時には処理していない油種も含まれており、平時に調達している中東原油の輸入量も減少したため、万が一にも装置トラブルが生じることがないよう、製油所の稼働が抑制的に行われた
  • 平時には石油製品の輸出も見込んで生産を行っているが、当該月は国内安定供給を優先し、国内需要に見合った量に原油処理量を抑えた。

ことなどが、石油元売り事業者から報告されている。

 5月には、国家備蓄原油の処理量が減り、中東からの原油調達量も増加したことから、原油処理量は平年並みに回復している。

 原油の代替調達と石油備蓄の活用、製品在庫の活用等により、燃料油の国内向け販売量は概ね前年同月比同量が維持され、全体として必要量は確保されていたことが確認されている。

図4.製油所の原油処理量と燃料油販売量 出典:石油等供給構造強靱化WG

原油輸入価格への影響

 日本は原油輸入の6割以上を長期契約により調達しているが、貿易統計によれば、4月、5月における日本の原油輸入単価は、前年同月比でそれぞれ37.9%、67.1%高騰した。

 長期的に見ると、原油のターム契約(長期契約)価格とスポット価格はほぼ同じ水準で推移しているものの、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格高騰時(2022年5月)には、最大で5%、スポット価格がターム価格を上回った。今回のような国際的事象の発生直後は、スポット価格の方が割高になることが想定される。

 また、輸送船舶のスポット契約の運賃(傭船料)は中東情勢の悪化により高騰し、2026年4月にはスポット運賃が前年同月比で約11倍に上昇した。エネ庁の試算によれば、このスポット契約運賃の上昇は1バレル当たり約9ドルとなる。

図5.スポット契約の輸送費 出典:石油等供給構造強靱化WG

 なお、政府による緊急的な激変緩和措置により、ガソリン/軽油/灯油の小売価格は3月以降、それぞれ170円/L、160円/L、140円/L程度に抑制されている。

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