小売全面自由化の直後に発生した東京電力のデータ通知遅延の問題は、少なくとも2017年2月まで続くことが明らかになった。需要家の使用量を算出するシステムの不具合が解消できず、各種の対策が難航しているためだ。当初は2016年内の解消を見込んでいたが、想定以上に長引いている。
既報(10月11日):「収束へ向かう東京電力のデータ通知遅延、いまだシステムの不具合は残る」
東京電力パワーグリッド(東京電力PG)は需要家に通知するデータの遅延に関して、12月5日時点の最新状況を国の電力・ガス取引監視等委員会に報告した。直近の11月中に検針した需要家の使用量データのうち、7営業日以内に通知できなかった件数は1日あたり100件を超えている(図1)。
ただし過去のデータが不明なことによる継続分が多く、新規に検針したデータの遅延は1日あたり20件強に減ってきた。とはいえ月間の使用量を確定できないケースが引き続き発生していて、需要家と小売電気事業者の双方に影響が及ぶ状況は続いている。
問題の根本的な原因は、小売全面自由化に合わせて東京電力PGが開発した「託送業務システム」の不具合にある。このシステムには需要家のメーターごとに計測したデータをもとに、月間の使用量を計算して電気料金を確定する役割がある。ところがシステム内の4カ所で不具合が発生して、使用量のデータを正確に計算できなくなっている(図2)。
東京電力PGは自由化直後の5月の時点で託送業務システムの不具合を確認したが、現在も解決できていない。とりわけ新型のスマートメーターと旧式のメーターの検針期間が違うにもかかわらず、両者を正しく認識してデータを処理できない問題の影響が大きい。
事態の解消に向けて、東京電力PGは10月12日の検針データを対象に、国のガイドラインに定められた検針から4営業日以内にデータを通知できなかった605件について原因を分析した。その中で特に多かったのが、2種類のメーターの混在によるデータの不整合である(図3)。加えてメーターが測定したデータの欠損なども数多く発生している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.