図2と図3を比較すると、デンマークの連系線の規模が大規模ガス火力発電所の出力と同程度であるかのように見える。約2000MWだ。だが、図3に示した数値は5本の主要な連系線の輸出入を足し合わせたもの。個別の連系線の状況が分からない。そこで図6に5本の連系線の送電量の変化を示す。
先ほど紹介したノルウェーとの長距離の連系線(濃い青)を最も活用しており、輸出量は最大1500MWにも及ぶ。
ドイツとの間をつなぐ連系線は状況が異なる。ドイツ西部からは終日輸入、ドイツ東部からは1日の前半が輸入、後半は輸出に変化している。スウェーデンとの間でも似たような状況になっている。北向きには終日輸出、南向けには前半がほぼ輸出、後半がわずかな輸入だ。
さきほどデンマークを電力の貿易港に例えた。これは図6の状況の比喩だ。おおまかな流れはドイツで余った電力はデンマークを経由してノルウェーに送っている。これはノルウェーが保有する巨大な揚水発電所の蓄電能力を生かした運用だ。
12月1日のグラフには現れないものの、風力発電の出力が低い状況が続くと、ノルウェーに「預けた」電力をデンマークが引き出す様子も見て取ることができる。
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