2035年に至っても石油は最も利用量の多いエネルギー源だ。1日当たりの世界需要は1500万バレル(15Mb/d)増加して、1億1000万バレルに達する。増加分のうち、約5割を中国とインドが占める(図7)。残りの5割をこの2カ国以外の新興国が占める。
2015年時点で石油を供給する潜在能力は、需要を上回っている(需要増に応えられる状態を維持する)。2015年から2035年、さらに2050年まで予測の範囲を広げたとしても、技術的に採掘可能な埋蔵量に対し、累積需要量はその約半分に至るだけだ。中東とCISの埋蔵量だけで足りてしまう。
2035年には、供給が1日当たり1300万バレル増加。OPEC(石油輸出国機構)加盟国の伸びが、増加分の70%、900万バレルを占め、供給力は4800万バレルに達する。シェアに換算すると70%近い。非OPEC諸国では米国(400万バレル)、次いでブラジル(200万バレル)の供給増が目立つ。
2035年に輸送部門(自動車、トラック、船舶、鉄道、航空機)が消費する石油は、全石油消費量の約60%を占める。つまり輸送部門の動向、中でも自動車とトラックの動向が石油需要全体を左右する。
自動車市場は成長を続け、2035年には保有台数が18億台へと倍増する。ただし、成長するのはほぼ新興国市場(Non-OECD)に限られる(図8)。
台数が倍増する中、液体燃料需要の伸びは低い。1日当たり1900万バレル(2015年)から、2300万バレル(2035年)への増加にとどまる。これは走行に伴う需要増(2300万バレル)を差し引く技術改善が3つあるからだ。最大の削減要因は燃料利用効率の改善(−1700万バレル)、次いで電気自動車の導入(ー120万バレル)、天然ガス自動車の導入(−20万バレル)だ。
プラグインハイブリッド車を含む電気自動車は2015年の120万台から、2035年に1億台に達し、全保有台数の6%を占めると予測した。
このように輸送部門では石油需要はあまり伸びなくなる。2035年の成長頭は非燃料用途なのだという。プラスチックや布の原料として石油を使う。
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