国際情勢の不安定化で懸念される日本の化石燃料調達。国の関係閣僚会議では燃料や石油製品の最新需給動向が、総合資源エネルギー調査会「資源・燃料分科会」では、燃料などの安定供給確保の状況が報告された。
2026年2月の米国・イスラエルによるイランへの攻撃や、イランから近隣国のエネルギーインフラへの攻撃により、湾岸諸国の石油等供給力の減少や、船舶がホルムズ海峡を通航することが困難な状況が生じている。
日本は化石燃料のほぼ全量を海外から輸入しており、原油の中東依存度は9割を超えるため(2025年)、国は3月以来、計7回の「中東情勢に関する関係閣僚会議」を開催し、燃料や石油製品の安定供給の確保を図るとともに、最新の需給状況が報告されている。
また、総合資源エネルギー調査会「資源・燃料分科会」第46回会合では、中東情勢を踏まえた資源・燃料の安定供給確保の対応状況や、非化石資源等の供給・利用拡大策などが報告された。
世界の石油輸出の約3割(日量約2,000万バレル)がホルムズ海峡を通過しており、これまで日本が輸入する原油の約93%がホルムズ海峡を経由している。なお、日本の一次エネルギー供給全体における石油依存度は過去と比べ低下している(約35%)ため、一次エネ供給全体における中東からの石油依存度は約32%に低下していることに留意が必要である(いずれも2024年度)。
中東情勢の悪化によるホルムズ海峡における通航見合わせの発生以降、各国では、サウジアラビアの紅海側のヤンブー港やUAE(アラブ首長国連邦)のフジャイラ港からの積み出し等、ホルムズ海峡を経由しない代替ルートからの調達拡大を進めている。
また、日本の石油備蓄は、①国が保有する「国家備蓄」、②石油備蓄法に基づき石油精製業者等が義務として保有する「民間備蓄」、③UAE、サウジアラビア及びクウェートとの間で実施する「産油国共同備蓄」で構成されており、中東情勢悪化前(2026年1月末)のそれぞれの備蓄量は表1のとおりである。
今般の中東情勢を受けて、国は3月から、国家備蓄原油30日分(約850万kL)、民間備蓄15日分、産油国共同備蓄6日分の放出を開始し、5月1日から第二弾の国家備蓄放出として約20日分の放出を開始した。
国は、備蓄放出を決定した3月16日以降、石油備蓄の推計値を速報ベースで毎日公表しており、5月12日時点(5月15日公表)の備蓄日数(備蓄法基準)は、国家備蓄が120日分、民間備蓄が87日分、産油国共同備蓄が1日分の合計208日分と報告されている。
関係者の多大なる尽力により、5月は現時点で約6割の原油の代替調達が実現できる見込みであり、6月は現時点で7割以上の調達に目途がついており、7月の代替調達についても、6月の水準を更に上回る水準を確保するべく、最大限取り組むこととしている。
このように原油の代替調達が進んだことにより、備蓄放出量は抑制され、仮に代替調達率を50%前提とする場合であっても、ナフサ等への原料供給も含めて、年を越えて、石油の供給を確保できる目途がついたと報告されている。
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