核となる“水素大動脈構想”とは? 水素・アンモニアの社会実装とロードマップ案第17回「水素・アンモニア政策小委員会」(1/3 ページ)

社会実装と普及に向けてはコスト低減と需要創出が最大の課題とされている水素。資源エネルギー庁の水素・アンモニア政策小委員会では、今後の社会実装に向けた官民一体での取り組み案が公表された。

» 2026年04月28日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 水素やアンモニアは、鉄鋼、化学、モビリティ、発電といった幅広い分野での脱炭素化に不可欠であるほか、エネルギー安全保障の観点からも重要なエネルギーとされている。

 水素・アンモニア関連市場は、一部のプロジェクトにキャンセルや遅れはあるものの、世界全体で見れば堅調に拡大しており、2050年には世界で30〜40兆円規模になると想定されている。日本は、水素アンモニア混焼/専焼タービン、水電解装置、液化水素・船舶関連、燃料電池など、サプライチェーン全体を通じて優れた技術・製品を保有しており、これらの輸出等により、年間10兆円程度の市場獲得を目指すとしている。

図1.水素・アンモニアサプライチェーンの主要技術 出典:水素・アンモニア政策小委員会

 このため、水素社会推進法では、15年間で3兆円規模の「価格差に着目した支援策」により、大規模サプライチェーンの構築を通じた、コストの低減と利用の拡大が進められている。また、日本成長戦略会議の「資源・エネルギー安全保障・GX」分科会では、水素等関連製品・技術を対象として、官民投資ロードマップの取りまとめに向けた議論が進められている。

 水素・アンモニアの社会実装に向けては、コスト低減と需要創出が最大の課題とされており、資源エネルギー庁の水素・アンモニア政策小委員会では、「水素大動脈構想」を核とする官民一体での重点取り組み項目が示された。

水素・アンモニアの需要見通しと課題

 現在、国内の水素・アンモニア需要は年間200万t程度(アンモニアは水素換算後。以下同様)であり、水素基本戦略では、2030年に300万トン/年、2040年に1,200万トン/年、2050年に2,000万トン/年程度の導入目標を掲げている。

 また、一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会では、技術開発ロードマップなどの政策目標が実現した場合、2050年に約3,000万tの国内需要ポテンシャルがあると試算している。

図2.水素・アンモニア2050年の国内需要ポテンシャル 出典:水素バリューチェーン推進協議会

 水素・アンモニアの社会実装に向けた最大の課題は、価格低減と需要創出とされている。

 アンモニア(NH3)については、肥料や化学原料などの既存市場を基盤とした大量輸送における実績があり、発電・産業熱・船舶等の新たな燃料用途についても、一定の市場形成が見込まれるため、すでに多くの事業が計画されている。

 他方、水素の大量輸送技術(水素キャリア)については、大規模実証が完了せず投資実績が無いものや、熟度は十分であっても輸送を含む供給コストが高く、さらなる研究開発が必要なものもある。商用サプライチェーン構築にあたっては、技術熟度と今後の見込み、需給量のバランス、最終製品価格に占める燃料費の割合、物性の違いなども総合的に考慮する必要があると考えられている。

表1.アンモニア・液化水素・MCHに関する特性と利用分野の比較 出典:水素・アンモニア政策小委員会
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