中東情勢の影響と今後の見通しは? 燃料・石油製品の供給力確保と国内資源開発の現況「中東情勢に関する関係閣僚会議」/第46回「資源・燃料分科会」(2/4 ページ)

» 2026年05月19日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

燃料・石油製品の流通円滑化対策の強化

 このように、現時点、石油は日本全体で必要な量は確保されているが、さまざまな石油製品において、供給不安を抱く流通事業者や需要家が大量発注したこと等により、一部で供給に偏りが生じたこと(いわゆる「目詰まり」)が報告されている。

 このため、政府の重要物資タスクフォースの要請に基づき、重要施設(医療・交通・公共サービス・農業・水産業・畜産業・重要物資の製造業等)向けには、石油元売から直接販売する「直販スキーム」を開始するとともに、元売から卸事業者向け販売は、系列・非系列を問わず、前年同月比同量を基本とするよう、大手元売事業者に要請している。

 報道各社で特に話題となったのが、さまざまなプラスチック製品の原料となる「ナフサ」である。ナフサは、原油を精製して作られる石油製品の一種であり、ナフサをエチレン等の基礎化学品に分解し、中間製品を経てプラスチック製品等が生産される。

図5.ナフサ由来の化学製品の需給見通し 出典:中東情勢関係閣僚会議

 ナフサ調達先は、これまで中東4割・国産4割・その他地域2割であったが、中東以外(米国やアルジェリア、ペルー等)からの輸入を加速しており、5月には昨年の3倍となる135万kL/月が見込まれている。

 川下の製品在庫(ポリエチレン等)は国内需要の約2カ月分があり、輸入原油の国内精製(国産ナフサ)の量を維持することにより、中東以外からの輸入が135万KL/月を継続する場合、ナフサ由来の化学製品についても石油と同様に、年を越えて供給を確保できる見込みである。

 国は、さまざまな石油製品の需要家や流通業者に対して、過度な先行発注や買い占め行動をせず、前年同月比同量を基本とした購入を行うよう、徹底的な周知・広報を進めていくこととしている。

図6.需要側の過剰な発注が流通の目詰まりに繋がった事例 出典:中東情勢関係閣僚会議

 医療用手袋の「目詰まり」も報道各社で大きく取り上げられた。全国の一般診療所及び歯科診療所による医療用手袋の需要は、1カ月で9000万枚程度と推計される。現在、メーカーは通常通りの発注には概ね対応できているが、一部では通常量を大幅に超える発注も見られ、結果として一部の医療機関ではその確保が困難となっている。

 医療用手袋等の個人防護具は、新型インフル特別措置法に基づき、パンデミックの発生に備えた備蓄を行っており、国では備蓄水準を超える約4.9億枚を確保している。国は、5月からまずは5000万枚を放出することとし、今後の供給状況を踏まえ、必要に応じて追加で放出していく予定としている。

ガソリン等の緊急的な激変緩和措置

 中東情勢の変化を受け、3月頃から国内のガソリン等の価格は大きく上昇した。このため国は、3月19日から緊急的な激変緩和措置を開始し、ガソリン小売価格を全国平均で1リッター当たり170円程度に抑制するための補助(軽油、灯油、重油はガソリンと同額、航空機燃料はその4割)を実施している。

 これにより、日本のガソリン価格は世界的にみても最安水準となっている(為替レートは、1ドル=159.68円、1ポンド=215.82円、1ユーロ185.02円で計算)。

図7.日米欧ガソリン価格比較(4月27日時点) 出典:中東情勢関係閣僚会議

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