太陽光発電のトラブルにつながる雑草、知っておきたい代表種基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(2)(1/4 ページ)

日本でも稼働から数年が経過する太陽光発電所が増える中、課題の1つとなっているのが雑草対策だ。本稿では太陽光発電に対し、さまざまなリスクやトラブルの原因となる雑草を、種類別に解説する。

» 2018年06月04日 07時00分 公開

 前回の記事では、雑草が現在の太陽光発電所に与えている影響やリスクについて説明しました。今回はさらに一歩踏み込み、発電所内に植生する代表的な雑草について、草種別に解説していきます。

 発電事業運営に悪影響(直接リスク)を与える恐れのある代表的な3つの草種と雑草外1つに絞り、具体名を用いて詳細な内容とリスクをご説明します。これらは、私のところに「これはどのような雑草でしょうか」と写真付きで頻繁に相談が舞い込むものたちです。また前回の記事にて紹介した「雑草に起因するリスクの分類表」の内容と関連性が高い草種を選びました。

雑草に起因するリスクの分類表

 なお、日本は南北に長いため、地域により植生が大きく異なります。「われわれの事業地域には植生していない草種だなあ……」と感じる方もいらっしゃると思われますが、発電所の点検業務中での経験と、これまでにあったお問い合せや相談の中から選んでいることをご承知ください。

1.セイタカアワダチソウ(セイタカアキノキリンソウ)

法面に植生するセイタカアワダチソウ

【分類】 キク科(広葉) 多年生植物 茎長1〜2.5m 北アメリカ原産

【国内分布】 ほぼ全国に分布しており、河川敷、荒れ地、路傍、土手など、ありとあらゆる箇所で発生しています。

【太陽光発電所ならではの特記事項】 重点外来種(環境省)です。私が現地調査したとき、ほぼ必ず見かける草種です。

トラブル事例

【発電事業/直接リスク】

 茎長が長いため、太陽電池モジュールに影を落としています。その結果、発電量低下とホットスポット発生の原因になっています。太陽電池モジュール間の隙間から、植生しているのをよく見かけます。

【近隣・地域/直接リスク】

 種子が近隣に拡散し、近隣に迷惑をかけることがあります。また、農業や緑化に悪影響を及ぼすため、非常に苦情が多く、近隣関係を良好に保つための注意と努力が必要です。

【近隣・地域/間接リスク】

 環境省が定める重点外来種のため、除去後の処理も要注意です。

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