インテル×関西電力の「宅内IoT」実証、「50%がサービス継続を希望」IT活用(1/2 ページ)

インテルが2018年7月に「インテル エネルギーフォーラム 2018」を開催。その中で関西電力と共同で実施した「宅内IoTサービス」の実証結果を明らかにした。

» 2018年07月18日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 インテルは2018年7月11日、東京都内で「インテル エネルギーフォーラム 2018」を開催した。イベントでは、インテルの米国本社の担当者に加え、日本を代表するエネルギー関連企業や専門家によるセッション、そして海外での先行事例などの紹介を通じて、エネルギー業界でのデータ活用の展望や、家庭・地域向けサービスの在り方になどについて提言した。

 基調講演にはインテルコーポレーショングローバル・マーケット&パートナー本部副社長兼ゼネラルマネージャーのシャノン・ポーリン氏が登壇。「DISRUPTING OR BE DISRUPTED〜リーダーシップとテクノロジーが牽引するエネルギー業界の未来〜」をテーマに、同社の取り組みを関西電力管内で実施した家庭向け宅内IoTサービス実証試験の結果を交えて紹介した。

ポーリン氏

 電気、ガスの自由化が始まるなど日本のエネルギー業界は現在大きな動きをみせている。自由化が進む中で、これまで大手10社が担っていた電力販売市場には400社以上の企業が参入し、その中で電力事業者とコンシューマーの関係にも変化が起こってきた。インテルでは「変革の中にチャンスがある。どんなイノベーションが起こり、そこで使われているテクノロジーにインテルはなにがしかの形で関わっている。その事例を皆さんとシェアできるのではないかと考えている」(ポーリン氏)という。

 これからのイノベーションというものを考えた場合、そこではデータの活用が大きく関係してくる。ポーリン氏は「現在のような人々がデータを生成し、保存し、持ち運び、活用するという状況は5年前には予想もつかなかった。例えばクラウドのビデオプロバイダーが出現し、毎日750PB(ペタバイト)ものデータを扱っているということや、航空機でも1日当たり5TB(テラバイト)のデータ転送を行い、個人が1日当たり1.5GB(ギガバイト)のインターネットを平均的に使用。スマートファクトリーでは1日1PBのデータ扱う。こうしたデータは、どのように使われるのか、それをどう支援するのかを当社は考えてきた。特にエネルギー業界ではレガシーシステムがまだ残っているため、イノベーションのチャンスは大きい。中には、消費者との関係性を変えようとする動きもみられる。そこには、データ中心の思考への対応が必要となる。当社は業界自体を先進化するためにソフトウエアのソリューションやサービスを高度化することを支援することができる」と述べた。

 さらに同氏は「AIの出現により、データは保存するだけでなく、そのデータを使って予測し、傾向を導き、行動を促すようなことも可能となった。ただ、大量のデータはあるが、使われてないものも多い。良いデータ、活用できるデータ、関係性に役立つデータと、そうでないものに分ける必要である」と指摘した。

 ポーリン氏によると、現在ある世界のデータのうち90%がこの2年間に作成されたという。このデータをもとに、さまざまな業界でイノベーションが起こっており、例えば交通・運輸関連では自動運転の技術が台頭し、電気自動車の普及も加速している。金融サービスでは、リスクモデリングやブロックチェーンなどのテクノロジーが注目されている。同じく、エネルギー業界においても、AIやブロックチェーンなどのテクノロジーを活用した新しいビジネスモデルの構築に大きな期待が集まっている。

 インテルでは、現在、太陽光発電、電気自動車、エネルギー・アズ・ア・サービス、分散型電源の共有分配、仮想発電所(VPP)、P2P(ピア・ツー・ピア)の電力取引などの技術に注目しているという。そしてこれらを実現するベース技術として、データ管理、ブロックチェーン、AIなどがあり、これらのトレンドをさらに進化させると見込んでいる。

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