ソーラーシェアリングと「農業人材不足」の問題、ある業界の参入にみた可能性とはソーラーシェアリング入門(26)(1/2 ページ)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は持続的なソーラーシェアリング事業を行う上で大きな課題となっている「農業の担い手不足」の問題と、その解決策となる可能性を感じた異業種参入について考察します。

» 2020年03月09日 07時00分 公開

 ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)事業に長く関わる中で、各地で切実な問題として見えてきたのが、農業の担い手の絶対数が減少していく状況に打つ手があるかという、我が国の農業が抱える構造的な課題でした。農林水産省が毎年公表している「新規就農者調査」によると、2018年(平成30年)の新規就農者は5万5810人で、その中でも概ね20年以上の長期的な就農が見込める49歳以下に絞ると、半数以下の1万9290人となっています。

 一方で、2018年から2019年にかけて農業就業人口は7万2000人の減少となっており、就業人口の減少を食い止めるだけでも現在の2倍以上の新規就農を促していかなければなりません。そして、農村コミュニティを含め農業を維持していくためにも、就業人口の増加は急務と言えます。農業就業人口や新規就農者数の過去5年間の推移をまとめたのが、下記の表です。

過去5年間の農業人口推移(農林水産省 農業労働力に関する統計より筆者作成)

 ソーラーシェアリングで農業者の所得の向上が図れると言っても、そもそも地域の農業を受け継いでいく後継者がいなければ、高齢化が著しい現役農業者の所得を増やしたとしても、時間差こそあれ地域の農業は崩壊していきます。また、上記の表にある「新規就農者」のうち約76%は、いわゆる「農業後継者」が就農した人です。そして、残りの24%が農家世帯ではない人の新規就農になり、その実数は2018年だと年間13万000人程度にしかなりません。これは日本の人口の0.01%程度という少なさです。

 農業者が減少していく以上は、農家世帯に属する人口も減少するので「農業後継者」も減っていきます。となると、就農者を増やす、テコ入れを行うには、この1万3000人という農業界の外からの新規参入をどう増やしていくかが1つのテーマになります。

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