再エネ拡大を目指す新電力が業界団体「REAP」を設立、その狙いとは?太陽光(1/2 ページ)

脱炭素社会の実現に向けて、再エネ由来の電力を使いたいという機運が高まっている。再エネの取り扱いをめぐって、電力会社の勢力図も変わりつつある。こうしたなか、またひとつ新しい協議会が誕生した。

» 2021年07月12日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 再生可能エネルギー推進を掲げる新電力の新しい協議会「一般社団法人 再エネ推進新電力協議会(Renewable Energy Accelerating Providers association)」(略称:REAP)が2021年6月16日に設立され、7月1日設立発表会見が行われた。

 幹事会社は、Looop、みんな電力、グリーンピープルズパワー、自然電力、地球クラブの5社。他にエネックス、岡山電力、グリーナ、昭和商事、たんたんエナジー、ナンワエナジー、宮崎電力、四つ葉電力、リミックスポイントが正会員として名を連ねる(2021年7月5日時点)。代表理事は、Looop 取締役 電力事業本部長 小嶋祐輔氏と、みんな電力 専務取締役 事業本部長 三宅成也氏の2人が務める。

REAP設立発表会見の様子。右から、代表理事の小嶋祐輔氏(Looop 取締役 電力事業本部長)、同じく代表理事の三宅成也氏(みんな電力株式会社 専務取締役 事業本部長)、監事の高橋怜一氏(地球クラブ 取締役 事業部長)

REAPの設立の背景、その狙いとは?

 REAPは、「再生可能エネルギーの活用を目指す小売電気事業者による組織を組成し、さらなる再生可能エネルギーの普及を目的として協働する団体」として設立された。設立趣旨としては、次の3つを掲げている。

  1. 脱炭素社会の実現に向けて、需要家に対して分かりやすい再エネの選択肢を提供する。
  2. 電力自由化による健全な競争環境を維持し、健全な業界の維持・発展を目指す。
  3. エネルギー利用における国民の効用の最大化を目指し、再エネ利用拡大、新サービス・新技術導入のための規制緩和の推進、提言を行う。

 具体的には今後、月1回程度の勉強会を開催し、急速に変化する政策状況のキャッチアップを行い、再エネ導入に向けたビジネスモデルの共有を図っていく。また、会員企業の意見交換を踏まえた政策提言を実施するなど、業界団体としての声を積極的に発信していく方針だ。

 会見で挨拶に立った代表理事の小嶋氏は、REAP設立の背景を次のように述べている。

 「2020年10月の菅首相による2050年カーボンニュートラル宣言、2021年5月の改正温暖化対策推進法成立などを受け、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入が急務となっています。2016年4月の電力小売全面自由化以降、新電力は全販売電力量の約20%を占めるまでに拡大しました。新電力は再生可能エネルギーを活用した電力メニューを含む多様な選択肢を需要家に提供し、再生可能エネルギー普及の一翼を担っています。一方で、非化石価値取引市場や容量市場、発電側課金などの制度の見直しが進むなか、昨冬には電力卸取引市場の高騰なども生じ、エネルギー業界は変革の時を迎えています。再エネ普及拡大を目指す新電力は、地域新電力などを中心に拡大しているものの、その規模はまだ小さく、制度設計や電力小売事業に関する知識の共通化や、再エネ主力電源化や、健全な競争環境維持に向けた議論と意見醸成の仕組みが十分ではなく、これに必要な制度設計への提言といった活動も必要と考えています」

新電力シェアの推移 出典:資源エネルギー庁/国内の電力業界を構成する各種市場 出典:REAP
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