水素の製造から発電までの技術検証を可能に、三菱重工が新施設を兵庫県に蓄電・発電機器

三菱重工業は、高砂製作所(兵庫県高砂市)に水素製造から発電までにわたる技術を一貫して検証できる「高砂水素パーク」を整備すると発表した。

» 2022年02月28日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 三菱重工業は2022年2月14日、高砂製作所(兵庫県高砂市)に水素製造から発電までにわたる技術を一貫して検証できる「高砂水素パーク」を整備すると発表した。

 高砂水素パークは、同製作所構内の実証設備複合サイクル発電所(通称:第二T地点)に隣接させて整備する。2023年度の稼働開始に向け、水素製造・貯蔵およびガスタービンでの水素燃焼技術の試験・実証運転に着手できるよう準備を進めている。

 水素製造設備は、水電解装置の採用に加え、メタンを水素と固体炭素に熱分解することによるターコイズ水素の製造など、次世代水素製造技術の試験・実証を順次行う予定である。

 高砂製作所では、開発から実証・検証までの一貫体制を構築している。水素ガスタービンのキーコンポーネントである燃焼器は、開発拠点(総合研究所)での開発から、設計、製造工場での実機の製作、実証設備において実機レベルで検証するまでの体制を築いている。

 同社のガスタービン開発は、基本設計の段階で各要素の検証試験を実施し、その結果を詳細設計に反映させ、最終的に実機を用いた実証を行うものである。この開発サイクルを同一工場内で実施することで、より迅速かつ確実な開発・製品化を進めてきた。

水素エコシステムのフロー図 水素エコシステムのフロー図 出典:三菱重工

 第二T地点では、ガスタービン入口温度1650℃の高温化を達成した次世代高効率大型ガスタービンJAC(J-series Air-Cooled)形の長期実証に向け、地域の電力網に接続された状態で実際の発電所と同じ運用を行いながら、新開発技術の長期的な信頼性検証を実施している。出力56万6000kWの最新鋭ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備として、2020年7月1日に長期実証運転を開始したものである。

 2025年の水素ガスタービン商用化に向け、大型については第二T地点でJAC形を用いて水素30%混焼発電を検証する。また、中小型での水素100%専焼も、H-25形ガスタービンでの水素燃焼の実証を行う。

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