シャープが実用サイズの軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュールで世界最高の変換効率32.65%を達成。独自の化合物3接合型太陽電池セルを用いて開発したモジュールで、自動車や航空機など高効率化と軽量化が求められるさまざまな移動体への搭載が期待されるという。
シャープは2022年6月6日、実用サイズの軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュールで世界最高の変換効率32.65%を達成したと発表した。NEDO「移動体用太陽電池の研究開発プロジェクト」において、独自の化合物3接合型太陽電池セルを用いて開発したモジュールで、自動車や航空機など高効率化と軽量化が求められるさまざまな移動体への搭載が期待されるという。
シャープの化合物3接合型太陽電池セルは、インジウム、ガリウム、ヒ素をボトム層とする3つの光吸収層を積み上げる構造となっている。この構造のセルでは、2013年4月に小サイズ(面積1.047cm2)で37.9%の変換効率を達成。さらに2016年には実用可能なサイズ(面積27.86cm2)の太陽電池セルを用いて、セルの集合体であるモジュール(面積968cm2)を作製し、当時の世界最高変換効率31.17%を達成している。
今回、2016年作製のモジュールから、化合物3接合型太陽電池セル(面積22.88cm2)の平均変換効率の向上(約34.5%→約36%)とモジュール内のセル充填率の改善を図ることで、実用サイズモジュール(面積965cm2)での変換効率を32.65%まで高めることに成功した。
また、これまでのモジュールは2枚のガラスで太陽電池セルを挟んだ構造だったが、薄いフィルムで挟んだ構造に変更することで、軽量かつフレキシブルな特長を兼ね備えたモジュールを実現。モジュールは実用化に向けて十分なサイズの約29cm×約34cm(面積965cm2)で、重量も約56g(0.58kg/m2)まで軽量化した。
シャープでは今後も電気自動車や宇宙・航空分野などの移動体への搭載に向けて、引き続き太陽電池モジュールの高効率化および低コスト化に関する研究開発を進める方針だ。
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